駒井哲郎―煌めく紙上の宇宙
18/10/13(土)~18/12/16(日)
横浜美術館

日本における現代銅版画の先駆者(パイオニア)である駒井哲郎(1920-1976)は、深淵な詩的世界が刻まれた版画により、国内外で高く評価されてきた。黒いインクと白い紙の豊かな表情のなかに立ち上がる、夢と狂気のあわいを彷徨う駒井の宇宙。それは、デジタル時代の今こそ観る者を魅了する。
駒井は銅版画を追求した一方、詩人や音楽家と交流し、総合芸術グループ「実験工房」での活動や詩画集の出版などで、文学や音楽との領域横断的な表現を試みた。またルドンをはじめ西洋画家たちへの敬愛も、駒井の芸術観の形成に深く関わっている。
本展では、初期から晩年までの駒井作品の展開を縦糸に、芸術家たちとの交流や影響関係を横糸とすることで、多面的な駒井の姿を捉えなおし、その作品の新たな魅力に迫る。色彩家としての知られざる一面も、福原義春氏のコレクション(世田谷美術館蔵)を核とした色鮮やかなカラーモノタイプ(1点摺りの版画)によって紹介。駒井の版画作品や詩画集など計約210点とともに、関連作家作品約80点を展示し、さまざまなジャンルとの有機的な繋がりにより紡ぎ出された、豊穣な世界を展示する。