風間サチコ「予感の帝国」
18/11/9(金)~18/12/9(日)
NADiff Gallery
風間サチコは徹底した独自のリサーチをもとに、主に木版画による漫画風のナンセンスな表現で、現在・未来につながる歴史の暗部を彫り起こすアーティストである。そのユーモアと鋭い社会批評眼を感じさせる作品は、近年、国内外で高く注目されている。NADiff galleryでは、これまでの風間の画業を集成した初の作品集『予感の帝国 風間サチコ作品集』(朝日出版社)の刊行を記念し、最新作(本展初公開)を含む展覧会を開催する。作品集にも収録されている、原爆の図丸木美術館にて発表された大規模作品《ディスリンピック2680》(2018年)は、優生思想の歪(いびつ)さに着目した風間が、構想期間4年をかけて戦前からの関係資料を収集しリサーチを続けて制作した作品である。優生思想によって統一された架空の都市「ディスリンピア」において、皇紀2680年(西暦2020年)に開催予定の国際体育大会「ディスリンピック」の開幕式典が舞台となる本作。ディストピア的な理想国家、健康至上主義の祝祭と人類淘汰の地獄といった脅威の光景を、周到精密に描き出した超大作。本展では《ディスリンピック2680》を構成する2つのパート(部分)と共に、《漫画「ディスリンピック2680」》のプロローグの生原稿も展覧する。さらに、皇紀2680年までに完遂予定の〈ディスリンピック計画〉の一つ、ドローイング作品《九軍神(ディスリンピアン)シリーズ》より三選手の出場も予定している。