長谷川利行 展 ―生きることは絵を描くことに価するか―
18/11/13(火)~18/12/24(月)
足利市立美術館
長谷川利行《水泳場》1932(昭和7)年 板橋区立美術館蔵
「生きることは絵を描くことに価するか」
これは長谷川利行(1891-1940)の言葉だ。逆説のように聞こえるが、彼にとって生きる実感を得られるのは描いている時だったのではないだろうか。生きているから描けたのではなく、描いていたから生きていけたと思えてならない。彼は生活のほとんどを捨て去っている。居所を定めず、職を持たず、家庭もなく、最後は行倒れとして養育院に収容され、誰にも看取られずに死去した。しかし、どんなに生活がすさもうとも、あるいはすさむほどに、のびやかで、美しい、自由な絵が生まれ、私たちの許に遺された。
利行は京都に生まれ、20代まで文学に傾倒し、短歌を詠む傍ら水彩画を描いていた。30歳頃上京し、やがて本格的に絵を志す。36歳で二科展樗牛(ちょぎゅう)賞を受賞、一躍画壇の中央に躍り出る。利行が画壇で活躍したのは、この頃から49歳で命果てるまでの約15年間という僅かな年月だった。これは、関東大震災後の復興期から太平洋戦争直前までの期間に重なる。浅草や山谷、新宿の簡易宿泊所を転々と放浪し、いわば街そのものがアトリエだった。鮮やかな色彩、奔放な筆触でバーやカフェの賑わい、そこで働く女給や人々を生き生きと描いた。
本展では、近年再発見された《カフェ・パウリスタ》《水泳場》、約40年ぶりの公開となる《夏の遊園地》、そして新発見の大作《白い背景の人物》など、話題作を含む約140点で長谷川利行の画業の全貌を紹介する。凄まじくも美しい輝きに満ちた利行の作品を楽しんでほしい。
開催情報
- ジャンル
- 美術館
10:00~18:00、月曜日(12月24日は開館)休館
※入館は閉館の30分前まで
料金
一般 700(560)円、高校・大学生 500(400)円、中学生以下無料
※( )内は20名以上の団体料金
※「足利学校さままつり」開催期間(11月23日(金・祝)~25日(日)の3日間)は観覧無料となります。
※各種障がい者手帳をご提示の方とその付添者1名は無料となります。
※「あしかが いきいきパスポート」をお持ちの方および両毛広域都市圏内にお住まいの65歳以上の方は無料です(住所・年齢を確認できるものをご提示ください)。
※第3日曜日「家庭の日」(11月18日、12月16日)は、中学生以下のお子さまを同伴のご家族は無料となります。