INSULA LUX 光の島アントニ タウレ展覧会
19/1/16(水)~19/2/14(木)
シャネル・ネクサス・ホール
L’ Énigme, 2016 © Antoni Taulé
シャネル・ネクサス・ホールでは、スペイン出身の画家アントニ・タウレの展覧会を開催する。数々のアーティストから愛され、世界各地の劇場で舞台装飾も手がけてきた比類なき画家の日本初の個展である。
バルセロナで建築家資格を取得した後、絵画、写真、舞台装飾の制作にとりかかかり、世界中の美術館やギャラリーで数々の個展、グループ展を開催してきたタウレが、今回取り組むのは「光の島」というテーマである。
どの作品も、開口部から差し込む外の光と冷たい室内空間の暗さが幻想的なコントラストを生み出している。描かれている光は決して一様ではなく、繊細なニュアンスに富んでいる。「光の島」はタウレが1970年代から拠点の一つとしているスペインのフォルメンテーラ島を描いたものである。地中海西部、イビサ島のすぐそばに位置するこの島は、豊かな自然と絶景によって多くの人々を魅了する楽園であり、タウレのインスピレーションの源であり続けている。「光の島」はタウレが愛する現実の島であると同時に、もう一つの現実ともいうべき夢や幻想の空間だといえるだろう。
展示作品は大きく二つのタイプに分類できる。
一つは最近の絵画作品であり、もう一つは過去の写真の上に絵を描いた作品である。いずれのタイプの作品においても、光と闇、現実と虚構、存在と非存在、色彩と無彩色、無限と有限の境界がひとつの空間のなかに見事に描き出されている。ほとんどの作品において人物は不在であり、何かが起こった後、あるいは、これから何かが起こるかのような、不安と期待に満ちた空間が立ち現れている。
写真と絵画のミクストメディアの作品は、タウレの芸術において現実と幻想、現実と表象がつねに隣接し、浸透しあっていることを端的に示している。写真は確かに存在した過去の断片だが、それを彩色し再構成することで過去が現在に蘇ることになる。写真と絵画が相互に干渉するタウレの作品は、過去と現在とが浸透しながら独特のオーラを放っている。
「光の島」を訪れる鑑賞者はその独特のオーラに包まれ不思議な感覚を覚えることになるだろう。