歿後40年 西谷卯木の仮名
19/2/23(土)~19/4/21(日)
公益財団法人 成田山書道美術館
独特の空間感覚を持ち、余白を生かした簡素な表現で、戦後の仮名書壇を牽引した西谷卯木がなくなって40年が経った。明治37年(1904)兵庫県神戸市に生まれた卯木は、16歳の時に安東聖空に師事し、近藤雪竹の指導も受けて文検に合格、高等女学校の教師となった。昭和20年、神戸の空襲に遭って左手を失ったが、教師を務めながら制作に励み、日展特選を二度受賞。教師を退職した後は、聖空のあとを受けて正筆会会長を務め、日展のほか毎日書道展や日本書芸院展などでも活躍した。昭和48年には日展内閣総理大臣賞を受賞している。卯木は、平安古筆はもとより、良寛の線質や造形にひかれ、墨跡や中国書画にいたるまでのあらゆる古典を取り入れた。伝統と現代との絶妙なバランス感覚が息づいた卯木の書は、歿後40年を経た今でもその魅力を失うことはない。
本展では同館所蔵の卯木の作品を一堂に集め、改めてその書業を回顧したいと思う。また、同時に1階には卯木と同時代の仮名作家を中心に出品する。
4月2日からは「第35回成田山全国競書展」を併催する。