楽焼とスリップウェア
19/3/2(土)~19/5/6(月)
益子陶芸美術館/陶芸メッセ・益子
スリップウェアとは、クリーム状の粘土である泥漿(でいしょう=スリップ)で装飾的文様を描いて低火度焼成した陶器のことで、古来、ヨーロッパを中心に各地で発達した。近年の日本では、イギリスに起源を持つスリップウェアが高い人気を見せるとともに、作り手と使い手の双方の間で一つのジャンルとして定着してる。本展では、この現象の源流にある、近代日本におけるスリップウェアの受容と展開を見つめる。
20世紀初頭、のちに民藝運動を創始する哲学者・柳宗悦(1889〜1961)や、陶芸家となる富本憲吉ら(1886〜1963)により、イギリスの伝統的なスリップウェアの近代的な美が発見された。富本と盟友のバーナード・リーチ(1887〜1979)は、楽焼によりスリップウェアの再現を試みる。その後渡英したリーチと濱田庄司(1894〜1978)によりスリップウェアの製法が明らかになり、濱田を介して京都の陶芸家・河井寛次郎(1890〜1966)にもその存在が伝わった。スリップウェアは柳の文章を通じて広く日本国内に紹介され、民藝の理念として浸透していく。一方で、本国イギリスでは生活様式の近代化のなかでスリップウェアが衰退しつつあったが、マイケル・カーデュー(1901〜1983)はそこに美を見出して復興し、現在では多数の個人作家が多種多様にスリップウェアを制作している。
本展では、同館新収蔵のリーチ作《楽焼飾皿》(1920)を起点に、楽焼への関心からスリップウェアの製法に到達し、あるべき陶器の姿(理念)としてスリップウェアに魅了された第一世代、彼らに学び創作的表現としてスリップウェアに取り組んだ第二世代の作家たちを紹介する。同時に、イギリスの近代的なスリップウェアにも焦点を当てるとともに、益子の近現代陶芸をスリップウェアという観点から見つめる。同館所蔵作品を中心に、総計約50点を展覧する。

