吉田謙吉と12坪の家-劇的空間の秘密-
19/3/7(木)~19/5/25(土)
LIXILギャラリー
片流れの屋根に赤い板壁、窓周りの白がアクセントのかわいらしい家。これは戦後、吉田謙吉が52歳(1949年)のとき、東京・港区飯倉(現・麻布台)に自ら設計して建てた自邸である。12坪、約40㎡の狭小住宅は当初家族3人の住居としてスタートした。ステージと観客席用のホールを内在するこの家は、謙吉が舞台美術家であったことを象徴している。故に、一般的な間取りとは明らかに異なるのがこの家のオリジナリティである。この「劇的空間」を解き明かすには、彼の多面的な活動も影響していると推測される。関東大震災直後、今和次郎らと立ち上げたバラック装飾社、それが発展して誕生した考現学、また築地小劇場を中心とした舞台美術家としての仕事や住まいの提案の数々・・・。世の中が苦難の中にあっても自由で新しいまなざしを持ち、人を楽しませることが好きで、自身も人生を楽しく謳歌することを望んだ謙吉の生き方が、様々な活動のエッセンスとともに、「12坪の家」に満ちている。
本展では、「12坪の家」を基軸に、謙吉が残した空間づくりに関わる数多くの記録や資料からその秘密を探り、同時に前向きに楽しく生きた吉田謙吉の人となりを浮き彫りにする。