Para-monument
19/4/7(日)~19/5/18(土)
アキバタマビ21

人の感覚は記憶に依存していて、痛覚でさえ忘れてしまえば痛いと感じなくなるという。モニュメントとは忘れてはならない事柄を想起させるために人の手によって作られるものである。しかし記憶は記録(データ)になると私たちから想起の瞬間を奪っていく。認識や価値観が変化してしまうような体験であっても、多くの情報が消費されていくように身体的な感覚もまた埋没する。そこには確実に体験があったはずだが、私たちの記憶は、いとも簡単に身体的な感覚を手放してしまう。身体に存在していたはずの痛みは、痛覚として忘れ去られ、どこへしまわれているのだろうか。
本展覧会では、現象に目を向けそこに存在するはずの感覚を芸術行為として実践する作家を集めた。彼女たちの作品は記憶のしまわれている場所を明らかにする。事実はいつも強力で私たちを受動的にさせるが、忘れても蘇る痛覚に似た創造力はそれに抵抗する力の存在を証明する。それは私たちに再び想起の瞬間を与えてくれるモニュメントなのである。
本展覧会ではモニュメントのある場を「記憶を想起させる空間」と仮定し、芸術と対峙することによってもたらされる記憶の体験を“Para-monument”と名付けた。5名のアーティストが作り出すそれぞれのモニュメントとして絵画、彫刻、映像やパフォーマンスを提示する。