美術館まで(から)つづく道
19/7/14(日)~19/9/1(日)
茅ヶ崎市美術館
同館のまわりは、昔からの細い道が入り組んでいるため、「道に迷いやすい」と言われることがある。
しかし、同館も参加する*MULPA(マルパ)というプロジェクトにおいて、ある弱視の方が、この複雑な美術館までの道のりを“むしろ迷路のように楽しんだ”といったのだ。このことをきっかけに、私たちは次の試みをスタートさせた。同館周辺のエリアが抱える、道が複雑で分かりにくいという要素を、異なる認識、価値観から捉えることができないだろうか?そのヒントを探るべく、障害者やマイノリティと位置づけられることの多い人たちと取り組む*インクルーシブデザインの手法を用いたフィールドワークを、2018年から2019年にかけて連続的に行った。
本展では、フィールドワークに参加した表現者が、実際に茅ヶ崎を歩いた体験をもとに創作し、視覚、聴覚、触覚、嗅覚などあらゆる感覚を用いて鑑賞する新たな作品を展開する。また、同館所蔵品の中から萬鐵五郎、小山敬三らによる茅ヶ崎を描いた作品も展示し、異なる時代を生きた表現者のイメージが交錯する場とする。本展を通して、障害者やマイノリティをめぐる「助ける側」「助けられる側」という二者の関係性に揺さぶりをかけるとともに、障害の有無を超え、誰もが一人一人異なる感覚を持ちながら生きる「感覚特性者」であるという観点から、違いを認め合い、ともに歩むことを楽しみその価値を捉え直す機会となることを目指す。
*インクルーシブデザイン
高齢者、障害者、外国人など多様な人々を、プロセスの最初から巻き込むデザイン手法。
*MALUPA.jpg*マルパとは
(公財)かながわ国際交流財団の呼びかけにより、2016年より立ち上がったプラットフォーム型のアートプロジェクト。多様な人々・団体とつながりながら、定住外国人や障害のある方々の美術館へのアクセシビリティーを高めることが意識されている。