名作展「カッパと水辺の物語 龍子のトリックスターたち」
19/7/27(土)~19/10/6(日)
大田区立龍子記念館

日本画家・川端龍子(かわばたりゅうし1885-1966)は、晩年、カッパをモチーフとした作品を多く描いた。龍子にとってのカッパは、子供の頃に「川へこっそり泳ぎに行こうものなら『カッパに尻子玉を抜かれるぞ』」と大人たちからおどかされた記憶に始まり、日本画壇 の巨匠と称えられるようになってからは、「そのユーモラスな形態を借りて、人間界の現実相を随時に表現」するモチーフとなった。 龍子の戦後を特徴づける「カッパ・シリーズ」は、《沼の饗宴》(1950年)を皮切りに制作され始める。本展では、徳仁天皇の御生誕を記念して描かれた《あやかる》(1960年)、日本水泳陣の目覚ましい活躍を表した 《オリンピック》(1956年)、当時のブームを描いた《ツイスト》(1963年)など、同館が所蔵する「カッパ・シリーズ」19点を一挙展示。
龍子が「私の架空の愛玩動物」とする作品中のカッパたちは、スポーツにうち興じ、踊り、酒を飲み、変装したりと思いのままに振る舞い、口下手な龍子の代わりに語り出す。いわば、カッパは龍子の制作活 動におけるトリックスターとして捉えることができるのだ。 さらに、「カッパ・シリーズ」に加え、本展では水辺にちなんだ作品を展示し、30点を超える作品から晩年の龍子の制作活動を紹介する。