又吉直樹原作、
衝撃の舞台が映画化!
『凜―りん―』特集

芥川賞作家・又吉直樹の才能は
ここから始まった!

今でこそ芸人として、芥川賞作家として知られる又吉直樹だが、その才能の発露は、書き下ろし舞台劇として生まれたこの『凜-りん-』が発端だったと言ってもいいだろう。神隠し伝説が伝わる村を舞台に展開する、謎とサスペンスに満ちた青春群像劇。そんな歴史の1ページとなった物語が、佐野勇斗、本郷奏多らフレッシュなキャストらによって、ついに待望の映画化を果たした!

芥川賞作家・又吉直樹
書き下ろしの舞台が映画化!
消えていく子供たちをめぐる
青春ミステリー!

2015年に発表した『火花』で芥川賞作家となった又吉直樹が、2007年、神保町花月の舞台のために執筆した『凛』が映画化。当時まだ売れているとは言いがたかったピース又吉の才能が知られるきっかけとなった作品でもある。

舞台は「100年に1度、村から子供が消える」という伝説がある山村。耕太は転校生の天童を含め、仲間5人とふざけ合うありふれた日々を過ごしていた。しかしあるとき、村の子供が行方不明になる事件が発生。何も手掛かりが掴めないまま、今度は耕太の仲間がひとり、またひとりと消えていく。天童が村に来てからおかしなことが起こり始めたのでは? 何かを隠している天童に疑いの目を向けられるが……。

謎解きミステリーと青春物語が融合した作品で、行方不明の子供を探す描写などは『スタンド・バイ・ミー』のような趣もあり。

野田耕太
(佐野勇斗)

母子家庭で育つ普通の高校生。明るく真っ直ぐな性格だが、父親が家を出ていったことをずっと気にしており、それが原因で「無理しても未来はどうにもならないこともある」と諦めグセがついている。村の伝説はあまり信じていない。勉強はできるため東京の大学に行けると言われているが地元でいいと思っている。

天童義男
(本郷奏多)

東京からの転校生で口数が少なくいつもひとりで読書している。一向にクラスに馴染もうとしないためとっつきにくい雰囲気だが、実は仲間想いでアツい一面がある。東京であったある出来事をきっかけに母親とこちらに引っ越してきたが、過去に何があったかは頑なに口を閉ざしている。イマドキ、まだガラケーのユーザー。

石倉優太(大仏)
(須賀健太)

学業優秀で以前は神童と呼ばれていたが、現在はテストでいい点を取ろうとせず、バカを演じるようになる。いつもニコニコとしている平和主義のため、ついたあだ名は“大仏”。しかしいつも笑っているのは実の息子である弟ばかりかわいがる義母に虐げられていて家庭に居場所がないため。なぞなぞを出すのが得意。

折田竜二
(亀田侑樹)

八百屋の息子。噂好きのため学校一の情報通。誰と誰が付き合っているかや他人の家庭事情、商店街のオヤジネタまで情報収集の守備範囲は幅広い。プライバシーに関わるようなことでもズケズケ聞けるので、デリカシーはあまりない模様。村に伝わる伝説を信じている。自分には何も特徴がなくモテないという自覚あり。

真島泰輔
(櫻井圭佑)

イタズラ好きでケンカッ早い。子供がいなくなった事件の“現場検証”をしようとノリで言い出すようなお調子者でもあるけれど、本当は友達想いで情に厚い。暴力的で支配的な父親とふたり暮らしでよく身体にケガをしている。父親に人に言えないあることを嫌々させられていて誰にも相談できないでいる。

フレッシュな若手から、
実力派のベテランまで
多彩なキャストが一堂に集結!





『ちはやふる-結び-』『青夏 きみに恋した30日』『3D彼女 リアルガール』など、昨今活躍が目覚ましい佐野勇斗が主人公・耕太を明るく演じる一方、キーパーソンの天童に幅広い役柄をこなす実力派・本郷奏多が扮して好対照を生み出す。本郷と同じく子役として長いキャリアを誇り、現在は舞台でも存在感を発揮する須賀健太、短い出演ながら印象を残す平祐奈など、フレッシュな若手たちの共演が魅力的だ。

さらに脇を固める大人には椿鬼奴や片桐仁、堀部圭亮、石田ひかり、山口沙弥加など安定感抜群のベテラン・個性派を配して物語に説得力をもたらす。多彩なキャストのアンサンブル演技に注目してほしい。

佐野勇斗&本郷奏多インタビュー

「ストーリーにすごく
 惹き込まれた」(佐野)
「観客それぞれが共感できる
 キャラクターがいる」(本郷)

――この作品のどんな点に惹かれましたか?

佐野 まず又吉さんの原作っていうことにすごく惹かれました。それに僕、もともとミステリー作品が好きなんですが、一体誰が犯人なんだって考えるストーリーにすごく惹き込まれました。それに友情の話でもあるので、ひとりで悩んでいたとしてもひとりじゃないぞっていうのは観てくれる人にも感じ取ってもらえたら嬉しいなと思います。

本郷 登場人物それぞれにちゃんと見せ場があるというのがいいと思いました。それぞれ共感できるキャラクターがいるでしょうし、ちゃんとみんなを愛せる作りになっていますよね。

――おふたりは初共演ということですが、一緒にお芝居をしていて感じたことは?

佐野 めちゃめちゃ勉強になりました。僕は昔から奏多くんの作品を観させてもらっていたから前からすごい俳優さんだなと思っていたのはもちろんなんですけど、こうして生で一緒にやらせてもらってやっぱりすごい迫力がありました。現場で休憩時間は奏多くんなんですけど、本番になるとスッと天童になっていたので僕も奏多くんにスイッチ入れてもらっていたような感じでしたね。

本郷 佐野くんは真摯に真剣に取り組んでいて真面目だと思いました。ト書きにはないけど、たぶん実際に心が動いて涙を浮かべてくれてたりして、真っ直ぐな気持ちでお芝居をしていて素敵な目だなと思って拝見してました。

佐野 ラストシーンはやっぱり奏多くんはじめ、皆さんがすごいお芝居をされるので、泣かされてしまいました。

――5人の友情物語でもありますが、現場ではどのようにコミュニケーションを取っていたんでしょうか?

佐野 他愛もない話をしてましたけど、須賀(健太)くんが中心になってすごい笑わせてくれていて。

本郷 健太めっちゃ面白いよね(笑)。ちょっとブラックユーモアというか、たまに闇健太を出してくるんですよ。子役からやっているからキャリアが長いことを面白く言って僕たちだけにわかるようにエンターテインメントをしてくれるっていう。役柄的には真逆でしたけど(笑)。

佐野 須賀くんはムードメーカー的な存在でしたね。撮影自体はあまり空き時間もなかったんですけど、だいたい5人でいつも一緒にいて、最終日にはストーブの上に網を置いて簡易バーベキューみたいなことをして楽しかったです。

――撮影は地方でずっと行きっぱなしだったんですよね。

本郷 そうですね。だから濃密な時間を過ごせましたね。振り返って何が一番濃密だったかっていうともう花粉が濃密すぎて(笑)。撮影が3月末だったのですごかったんです。

本郷 しかも全部が杉に囲まれている山で。

佐野 僕、ひどい花粉症なので大変でした(笑)。

――それぞれ演じた役柄の魅力はどんなところだと思いますか?

佐野 天童は変わったヤツに見られがちだけど、僕が演じた耕太だったら恥ずかしくて言えないようなアツいセリフをちゃんと仲間に向けて言えるので実はすごいいいヤツだと思います。

本郷 耕太は好きな人の写真を生徒手帳に入れておくと恋が実るって言われてそれをそっくりそのままやっちゃうところが魅力的だよね。小学生かよって思ったし、かわいい(笑)。

佐野 あははは(笑)。

――お互いから見て役との共通点はありましたか?

本郷 佐野くんと耕太は素直で真っ直ぐなところは似てます。

佐野 奏多くんと天童は見た目がミステリアスというか。

本郷 いや、ルックスは絶対一緒なんだよ(笑)。

佐野 ですよね(笑)。それは当たり前なんですけど、見た目と中身の意外性というかギャップがあるところが似てると思いました。天童はアツいところがあるけど、奏多くんには親しみやすさがあります。





――池田克彦監督とはどんなディスカッションしましたか?

佐野 けっこうたくさん話しました。役のことではここはこういう気持ちなんじゃないとか演出を受けましたし、それに僕、けっこうプライベートな話もしたんです。言ったら怒られるかもしれないけど、監督の恋愛の相談とか聞いて(笑)。

本郷 えー!? 仲良しじゃん(笑)。

佐野 なんか友達みたいって言ったらすごく失礼ですけど、地元も近くてすごく親しみやすくて(笑)。

本郷 ちょっとジェラシー。僕も聞きたかった(笑)。

佐野 あははは(笑)。

本郷 あ、でも僕、監督と一緒にサバゲー(サバイバルゲーム)したことあるんで。だからまあ、負けてはいないですね。

佐野 なんでそこで張り合うんですか(笑)。

本郷 撮影終わった後にサバゲーしたから、終わった後も仲いいこっちの方が本物かもしれない。

佐野 あはははははは(爆笑)。

本郷 現場ではこだわりがあって細かな演出はありましたけど、そういう感じでフランクに接してくれる素敵な監督さんでしたね。なかなかいないと思います。

佐野 本当にそうですね。僕も次あったらサバゲーに行きたいです!

本郷 毎回誘うんで(スケジュールが)合う時に来てね

――ちなみにおふたりはどんな高校時代を過ごされてましたか?

佐野 僕はバカばかりやってましたね。正直、中学校までは勉強もきちんとやってたんですけど、高校1年のクラスが楽しすぎて歯車が狂ってしまって(笑)。例えば文化祭でみんな焼きそばとかちゃんとしたものを作る中、泥団子を作ったり。

本郷 それを売ったの!?

佐野 売りました(笑)。ピカピカにする泥団子を作ろうと思ったんですけど無理で、まあまあサラサラな自分でも作れるレベルのものを売ってしまって。

本郷 え? クラスのお店として泥団子を?

佐野 女子はそれじゃまずいと思ったらしくて違うことをやって、男子は全員で泥団子(笑)。

本郷 女子に切り捨てられたんだ(笑)。ちなみに1個いくらで売ったの?

佐野 1個100円くらい。でも売上げはゼロでした。

本郷 まあ原価もゼロだからね(笑)。

佐野 プラマイゼロなんで、楽しい時間を考えればすごく良かったなって(笑)。

本郷 面白い(笑)。僕は先生に嫌われるタイプの生徒でした。授業が全然面白くなかったから寝てたりしててもテストでは100点取るんです。中間と期末で両方100点だったのに成績は3だったこともあって。まあ、イヤミな生徒だったからでしょうね(笑)。

佐野 え~、それはひどいですね!