名匠の下に豪華俳優陣が集結!
『連続ドラマW 悪党 ~加害者追跡調査~』特集

5月12日(日)夜10時よりWOWOWプライムにて放送(全6話・第1話無料放送)
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名匠・瀬々敬久監督が東出昌大&松重豊と描く
感動のディテクティブ・サスペンス

“映画監督”として知られるクリエイターを積極的に起用するなど、地上波とは一線を画すその高いクオリティに定評があるWOWOW連続ドラマW。5月から放送される『連続ドラマW 悪党 ~加害者追跡調査~』では、『64―ロクヨン―前編/後編』などを手がけた名匠・瀬々敬久監督がメガホンを取り、犯罪加害者と被害者家族をめぐる重厚なドラマが綴られる。しかも出演者は、東出昌大、松重豊など、映画を彷彿とさせる豪華な面々! 映画ファンは必見の作品だ。

東出昌大&瀬々敬久監督インタビュー

『連続ドラマW 悪党 ~加害者追跡調査~』で連続ドラマW初主演となる東出昌大と、東出とは『菊とギロチン』でも組んでおり旧知の間柄である瀬々監督。主演俳優と監督、まさに根幹を成すふたりに本作についてたっぷり語ってもらった。

―――さて、どんな作品になったのでしょうか。

東出 瀬々監督が、(主人公の)佐伯(修一)は復讐の鬼ではあるけれど、日常の空気も出していきたいと。ハードボイルド(の世界)は、見栄を切るようなところがあるじゃないですか。そういうキャラクターとして見せることはできるんですけど、それだけに限定されちゃうと、せっかく瀬々監督とやる意味がないんじゃないかと、僕も思いました。

瀬々 探偵である主人公がいろんな人々に事情を聴いて、事件の真相が分かっていく構造なんですが、演じる人たちの力によってエモーションが渦巻く作品になったなと思います。

―――おふたりは昨年公開された『菊とギロチン』で初めて顔を合わせましたよね。お互いに、どんな監督、どんな俳優だと思っていますか。

東出 俳優部を信じて、大海原に投げ出す。行ってこい!と背中を押してくださる。それが根底にある演出。瀬々組らしいなと。そして、さっきも言ったように、ハードボイルド一色になりすぎない。人間だから、もがいている様にリアリティがあって。その濁流の中にひと筋の光明が見えた瞬間に、救いが生まれる。そういう作品が、そういうお芝居が好きである。そこは瀬々監督ならではだなと思いますね。

瀬々 東出くんの役は、いろいろな人たちとぶつかって最後、トラウマみたいなところを打ち壊して、先に進んでいかねばならない。それがトータルの構成。そこにおいて自分の中で印象的だったのは、あるとき、東出くんがトラウマを乗り越えたようなパフォーマンスをするわけです。

東出 そんなこと、しました?

瀬々 ほら、第六話(最終話)のラスト近くのシーンで。

東出 ああ!

瀬々 そこに至るまではノープランで挑んでいるわけです。「こうやってほしい」ということもあまり言ってませんからね。つまり、自由演技。それを手持ち(カメラ)で撮る。俳優、東出昌大がそんなふうに挑んでいく、ある種のドキュメンタリー的な部分もあったなと。撮っていて刺激的でしたね。

それと、東出くんは他者とのコール&レスポンスがすごいなと。(相手の芝居を)受けて投げ返すんですね。そうすると、東出さんと一緒に俳優も輝くし、東出くん自身も輝く。その化学反応が場の中で行われていく。たとえば、人と人とが向かい合っているだけで、感情と感情とが積み重なって、どんどん高みにいく。それはすごく感じましたね。



―――東出さんご自身も、芝居のコール&レスポンスは意識していますか?

東出 何か表現をしようというのではなく、“表現をしない”という方が僕は魅力的だなと思っているんです。そうありたいなと思っているんですけど、どうしても雑念が生まれて、こうしたらこう見えるんじゃないか、とか考えてしまうことはあります。何も考えないでできるってすごいなと思うんです。

でも今回は何も考えないでできる先輩方も大勢いらっしゃいましたし、『菊とギロチン』から一緒だった寛一郎も、狙いにいかないで“何もしない”をする、というのを眼の前でしてくれたりしたので。そういう共演者のみなさんの力を借りて、佐伯は存在できたと思うし、そういうお芝居をもらって変わっていく佐伯でしたね。

―――松重豊さんとの共演もとても楽しみです。

東出 本当にお上手な方だなと。木暮はちょっととぼけたところのあるキャラクターなので、そういうお芝居が続いたんですけど、橋の上で面と向かうシーンがあって。こちらの目の奥を見て、眼と眼が合う初めてのお芝居があったんですが、そのとき、ちゃんと(芝居の上で)「心臓を殴りに来てくれた」んです。そういう熱があった。それを佐伯として受け止めたんです。それにしても松重さんは(役者として)尊敬の意味も含めて、ほんとズルいし、上手いなと思います。

瀬々 何回か出てもらっていますが、松重さんは天使の面と悪魔の面がある。

東出 そうそう。

瀬々 芝居(の相手)をしていたらよく分かると思うんですけど、天使のようにいいことを言ってくれるときもあるし、悪魔のように「お前、こっちに来いよ」みたいなときもある。

東出 “笑ゥせぇるすまん”的な(笑)。

瀬々 そうそう(笑)。そういう両面性があるから、不可思議な存在なんですよね。捉えどころがないというか。そのへんは松重さんならではの魅力というか。そういう俳優さんって、日本にはあまりいないと思うんです。それが今回の木暮という人物像にも表れていて。佐伯に悪魔のように囁くこともあれば、守護天使のように「頑張れよ」と言ってくれるときもある。そのあたりの二律背反した存在感が面白いなと思いました。松重さん特有のあり方ですよね。

―――タイトルの『悪党』に趣を感じます。悪党という言葉は“完全な悪”を感じさせません。どこか人間的なものを感じます。なぜ、このタイトルなのか。また、“悪党”という言葉からイメージするものはなんでしょうか。

瀬々 “悪党”って、中世的だと思うんですね。バサラとか。中世って、悪が悪だけではなく、善悪両方あるみたいな感じで捉えていた時代だと思うんです。そういうイメージがこの『悪党』というタイトルにはある。各登場人物もそうなっていると思うんです。悪が悪になりきれていないというか。そういう視点で(原作者の)薬丸(岳)さんは世界を見ているのだなと。

東出 事前に(犯罪者関係の)いろいろな本を読むにつけ、悪党って、どうやって存在するのか。それを考えたんです。やっぱり家庭環境に原因があったんじゃないのか。幼い子供が、そのまま、どうしようもない悪党になることはない。悪党とは何なんだろう? この作品の間は常々考えていました。答えは出ないし、答えが出なかったから、薬丸さんもこういう小説を書いたと思うんです。答えは出ないけど、考え続ける。このドラマもそういう作品になっているんじゃないかと思っています。

WOWOW 『連続ドラマW 悪党 ~加害者追跡調査~』
5月12日(日)スタート(全6話・第1話無料放送)
毎週に日曜夜10時よりWOWOWプライムにて放送

原作:薬丸岳『悪党』(角川文庫)
監督:瀬々敬久(『64-ロクヨン-前編/後編』『8年越しの花嫁 奇跡の実話』『友罪』)
脚本:鈴木謙一
音楽:大間々昂

出演:東出昌大、新川優愛、青柳翔、蓮沸美沙子
山口紗弥加、寛 一 郎、篠原ゆき子、中島歩/渡辺いっけい
三浦誠己、山中崇、波岡一喜/柄本明
板谷由夏/益岡徹/松重豊

http://www.wowow.co.jp/dramaw/akutou/