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ぴあ

いま、最高の一本に出会える

2015年個展「Deadline」

栗林隆 個展

19/9/6(金)~19/9/29(日)

アートフロントギャラリー

栗林は、東西に分かれていた歴史をもつドイツ滞在の影響もあり、「境界」をテーマに様々なメディアを使いながら制作を続けている。国境や水平線などの物理的な「境界」だけでなく、われわれの頭の中にある既成概念にしばられた見えない「境界」など、様々な視点から物事の異なる側面を喚起させ、提示する。その作品は、普段見えるものと、その裏側の見えない領域とを入れ替え、日常生活では覆い隠されてしまっている出来事・領域・思考・歴史・視点を顕在化させるかのようでもある。
2015年のアートフロントギャラリーでの展示では、「Deadline」と題し、代官山に津波がきたと想定した場合に、津波が残すマーキングラインを長崎、広島の爆心地の土、福島第一原子力発電所近郊の津波の被害を受けた場所の土で描いた。東日本大震災の際に、避難区域の線が引かれるという、未だかつてない強力な「境界」が生まれたとして、現地のリサーチ制作を継続している。その実践として昨年は福島県で開催された清山飯坂温泉芸術祭にも参加した。
また、2018年フランスのPALAIS DE TOKYOで開催された展示では、7,000枚以上のマジックミラーで作られた6mの高く聳え立つ3本の木のインスタレーション作品《The connection between the sea and the sky》を発表。筒状の木の中に入り見上げると、水中から見上げた福島・逗子・インドネシアの空の写真がそれぞれに見える。地域の「境界」、水と空の「境界」入口と出口の「境界」など様々な「境界」を感じさせる作品であった。この美術館に広がるかのような青い空は、パリの青い空にもつながり、空には国境という「境界」がないことを感じさせる。栗林は作品制作において「常に対比性を考えている」と語っている。美しさと危険、現実と非現実の世界観、それらの対比がうみだす「境界」。栗林が見出した対比性によって浮かび上がる「境界」で再定義された世界を見たとき、私たち鑑賞者は固定概念を覆させられ、新たな気付きに導かれるのかもしれない。
栗林は、この秋、瀬戸内国際芸術祭への参加が決まっている。展示の舞台は、伊吹島にある「出部屋(でべや)」と呼ばれる産院跡地。島の風習で女性が出産前後1ヶ月を女性だけで集団生活していた独自の文化を象徴する場所である。そして、島のほとんどの人が産まれた原点の場所でもある。
その瀬戸内での展示を控えた9月上旬、芸術祭に先駆けて、アートフロントギャラリーで開催する個展でも瀬戸内国際芸術祭出品作に関連した作品群を発表する。これまで「境界」をテーマに作品と向き合ってきた栗林が、地域の文化が色濃く受け継がれている伊吹島と、東京の代官山で魅せる一連の作品群にもまた「対比性」があり、何らかの「境界」が生じるのかもしれない。どう展開されるのか必見である。

開催情報

ジャンル
ギャラリー

11:00~19:00、月曜・火曜休廊

料金

無料

出品作家

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