ハンガリアン

1942年冬、雪に閉ざされたハンガリーの小さな村から、ファビアンとイロンカの夫婦をはじめとする４組の夫婦と二人の独身男がドイツへと旅立つ。一年間の契約で同盟国ドイツの農村に出稼ぎに行くのである。彼らはこれまで一度もハンガリーの村から出たことはなく、今度のドイツ行きで初めて外の世界に触れたのだ。だが、時は第二次大戦のさなか、しかもドイツが敗戦への坂を転がり始めた頃だった。彼らが初めて目にする悲惨で過酷な戦争の現実は、やがて彼らの運命を巻き込んでいく。大国の動向にほんろうされてきたハンガリーの姿を純情な農民の姿に重ねながら、その運命をリアリスティックに描いたゾルタンの力作。