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筒井伸輔展

20/4/8(水)~20/6/20(土)

ミヅマアートギャラリー

2017, canvas, wax, oil pastel, 25×25cm

筒井伸輔は一貫してロウを用いて、身近で採集した虫をモチーフに表現を続けてきた作家 である。本展はインドネシア滞在中に制作された作品に加え、未発表の近作、本展のための 新作で構成される。
筒井は 2017 年夏にインドネシアのジョグジャカルタで滞在制作を行った。初めての海外での滞在制作は、現地の人々との文化的交流だけではなく、自身の制作においてとても大きな出会いがあった。インドネシアのバティック(ろうけつ染)と自身の作品には、技法やイメージに類似点が多いことに気づいた筒井は、バティックで使用されるチャンティンという器具に注目する。チャンティンは細い口金のついた銅製の器具で、温めたロウを入れて図柄を描く。 これまでの筒井の作品は、モチーフが描かれた型紙をパズル状に切り分けてキャンバスに配置し、紙を一片ずつ外してロウを流し込んで画面を構成していたが、チャンティンを使用することによって、型紙を使用する従来の工程ではなく、キャンバスの上に直接ロウで線を引くことができるようになった。
これまで色面で構成していた絵画を、線で構成することができるようになった筒井は、より平面を意識するようになった。平面性の意識は、新作のドローイングにも現れる。重力に従って地面に落ちてきたようにも見える虫の死骸は、大きく余白を残した紙の下端に配置され、絵画の構成や平面性をより積極的に意識した筒井の探究心が感じられる。
自ら形(ポーズ)を決められない小さな虫をモチーフにすることも、それをできる限り潰して厚みをなくしたのも、プロジェクターを使って型紙を作る工程も、作家自身の意図的な操作をなくすためのものだった。「在るもの」をそのまま作品にするためにニュートラルな構図や色を敢えて選択してきた筒井が、主観やその痕跡を完全に取り払うことは無理だと思うようになり、その必要性も感じなくなってきたという近年の作品には、より具象化した図像や大胆な色使いが見て取れる。筒井に新作のドローイングに施した色彩について尋ねると、「ギリギリ飛べるくらいの色合いだから」と答えた。動かなくなった虫の死骸に、広く真っ白な空間に自由に飛び 立っていく命を見ていたのかもしれない。
本展を目前にして2020年2月24日に筒井伸輔は永眠した。昨年4月に食道癌が 判明して以降通院治療を繰り返し、体調の波に翻弄されながらも、最後まで気力を振り絞り大事な時間を制作に充てて本展のための新作を準備した。展示のレイアウトや作品の額装、DM や広報に使用する画像など、可能な限り本人の意向に添った内容で本展を開催する。同じモチーフと画材を用いながらも、画家として多様な表現を追求し続けた筒井伸輔の新作展を多くの方々にご高覧いただければ幸いである。

開催情報

ジャンル
ギャラリー

12:00~18:00、日曜・月曜・祝日休廊

※新型コロナウィルス感染拡大防止のため、本展は30分ごとに定員6名の枠を設けた完全アポイント制(オンラインによる事前予約)

料金

無料

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