Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

ぴあ

いま、最高の一本に出会える

関口正浩 まばたきのかたち

18/11/22(木)~18/12/22(土)

児玉画廊|天王洲

児玉画廊|天王洲では11月22日(木)より12月22日(土)まで、関口正浩「まばたきのかたち」を開催する。
関口は、油彩で作った皮膜状の色彩面をキャンバスに貼付、定着させたもの、それを絵画と呼ぶ作品を制作し続けている。初個展「うまく見れない」(2009年、児玉画廊, 京都)以降一貫して描画、即ち絵筆によって描くという絵画の基本的行為を放棄し、色面を物質化させたとも言える絵具の「皮膜」を使って謂わばコラージュのようなアプローチから「oil on canvas」の新たな在り方を模索してきた。
今回の個展では、昨年の個展「Warped」の内容を引き継いだ作品を展開する。上述のように絵画が「皮膜」として提示されることに変わりはない。しかし、そのプロセスに違いがある。これまではシリコンボードに塗布した絵具を引き剥がす、という手法だったが、「Warped」以降はキャンバスと同じ大きさのビニールシートを用意し、そこに絵具を塗り広げていく。その際、ビニールシートは任意に折り畳まれたり、シワクチャに絞られたり、様々な折り目を付けられた状態で絵具が重ねられる。そして、一層絵具を重ねるその都度、折り目は一度開かれ、また新たに変えられていく。この、折る、塗る、開く、折る、塗る、開く、、、を塗り残しがなくなるまで繰り返すことによって、次第にキャンバスと同じサイズの大きな一枚の「皮膜」を形成していく。塗膜は折り目に従って厚みとテクスチャーを変えながら、まるで、ビニールのシワや折り目をそのまま写し取ったような、一見タイダイの染物、あるいは幾何学的抽象絵画のような様相を呈している。そうして作った「皮膜」はこの時点ではまだヒラヒラとしたビニールシートに張り付いた状態である。これを、絵具の面をキャンバスに重ね合わせて固定し、しっかりと癒合するのを待ってからビニールシートのみを剥ぎ取ると、まるでシール転写のように「oil on canvas」の絵画が現れる、という仕組みである。これまでのコラージュ的な構成では、無数の襞や継接ぎの断層が強い視覚的な要素となって、描画ではない、ことの主張にも結びついていたのに対し、この新しいアプローチでは画面全面が一体化した一層の「皮膜」として示され、平滑に塗られた絵画、あるいはプリントのようにさえ見える。しかしながら、これは、今までの関口作品と比較してみれば平滑であり絵画的である、という前置きが付き、よく見れば従来通りの襞やシワが随所に認められ、やはりこれは描画ではなく「皮膜」であるのだ、と明確に判断される。「Warped」ではよりその効果を明示するために白と黒のモノトーンに徹していたため、折り目に由来する特徴が白と黒との鮮明なコントラストによって示されていたが、今回は色彩を使うことによって、明度に加え、彩度、色あい、濃淡の要素が加わりより複雑化した画面が展開される。
初個展の「うまく見れない」、そして、今回の「まばたきのかたち」という展覧会タイトルには、関口の視覚への信用と不信が現れている。「平面」とは何か、という観点から絵画に向き合うこと、それ自体が、まず「平面」をいかに知覚するかの問題を孕んでいるからである。絵画を「平面」として見るということに限定して言えば、絵画の中で日常的に行われているイリュージョンやレイヤーや、そういった厳密な意味での立体/平面の境界線を視覚情報のみによって判断することの困難さについて思考することは避けては通れない。困難さというより無意味さと言っても良いかもしれない。目に見えるものの不完全さはそのまま絵画の不完全さでもある。絵画が「平面」であることの定義も不完全なまま放置されてきているということである。極論を言えば、関口が「皮膜」という手段、薄膜を引き剥がした瞬間の現象を捉えて絵画の自立を問うと言うならば、それは即ち、キャンバス上に固定された持続的な図像という意味での「平面」を放棄せねばならない可能性が示唆される。関口の作品タイトルにもよく現れる「Flag」に倣うなら、確かに「平面」的に拡げられた旗は、広義に絵画であるかもしれない。しかし、関口の「Flag」は翻る旗の瞬間的造形を捉えて、これも「平面」である、そう知覚しさえすればひょっとして絵画ともなり得るではないかと嘯くにも等しい行いである。まばたきほどの間に「見える」ものと「見えなかった」もの、と比喩的に関口は言うが、そのどちらかと言えば「見えなかったもの」、つまり人間の知覚的にも、絵画の意味合い的にも、いまだ不完全で不確定な状態にある「平面」を「仮置き」する自らの行いを、差し当たって絵画と仮称する。

開催情報

ジャンル
ギャラリー

11:00~18:00(金曜は20:00まで)、日曜・月曜・祝日休廊

料金

無料

出品作家

お問い合わせ

アプリで読む