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ぴあ

いま、最高の一本に出会える

ケレル

映画化不可能といわれ、シュレーター、ベルトルッチらも企画をあきらめたJ・ジュネの『ブレストの乱暴者』。大胆にもこの小説の映画化に取り組んだファスビンダーの遺作。ブレスト港は、警部マリオと城壁の上の淫売宿“ラ・フェリア“の主人ノノに支配されている。そこに現れた美しい水兵ケレルは男たちを魅了する危険に満ちた天使だ。彼は密輸のため手を組んだ水兵仲間を殺し、ノノとマリオそれぞれにとり入って地獄の快楽と暴力に目覚めさせる。その悪の臭いはノノの妻ジリアヌを虜にし、ケレルに身をまかそうとするが彼はとりあわない。彼は兄を殺そうとしたり、バイセクシュアルのジルを殺人犯に仕立てたり悪のかぎりを尽くしたあげく、彼を愛する上官セブロンとともに出航していく。汚辱に満ちた世界を描きながら、美しく、また人が人を求める切なさにあふれたこの映画の世界は不思議な親密さがあふれている。

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