地獄〈1960年〉
新文芸坐
日本の監督のなかでもひときわ異彩を放つ鬼才・中川信夫の代表作。血の池地獄、針山など日本古来の地獄絵をスクリーンに再現するだけにとどまらず、人間の罪の意識やそれからの救済を深くえぐっている。また、日本のSFXや特殊メイクの歴史を語る上でも貴重な作品といえる。人一倍罪の意識の強い清水は、悪魔のような友人のために恋人ら3人を過失死させてしまう。故郷へ帰った清水は死んだ恋人とそっくりの女に会うが、過失死させた相手の親に毒を盛られ、登場人物全員が地獄に堕ちる……。ラストに主人公が自分の子供を地獄から救い出す場面はダイナミックで感動的。