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ぴあ

いま、最高の一本に出会える

儀式

少年のとき満州で敗戦を迎えた主人公が内務官僚だった祖父の支配する桜田家に帰り、自殺した父の異母兄弟やその子供らと戦後を生きていく。桜田家は家長の祖父が手あたり次第に手をつけた女たちの子や孫により複雑な血縁関係をつくっていて、この奇怪な男根支配の中に左翼や右翼といった個人個人の立場は飲みこまれてしまっていた……。敗戦によっても揺らぐことのなかった家父長制度の中で生きていくことを強いられた戦後世代の若者たちの悲劇を、大島監督が自らの青春をも投影して作り上げた傑作。個人が家に組み込まれ支配されるさまを、冠婚葬祭の儀式によって描いた点にこの映画のオリジナリティーがある。また主人公が幼くして死んだ弟の存在を大地から聞きとるシーンや、戦後の自由を精いっぱい謳歌するかのように野原で繰り広げられる三角ベースといった、可憐なポエジーに裏打ちされた戦後の青春への鎮魂歌でもあるのだ。不気味な日本の家制度をそのまま日本家屋に造形しえた美術も、絶賛に値しよう。

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