ザ・クラッカー 真夜中のアウトロー

アメリカ第二の犯罪都市シカゴ。昼の間はスーツをビシッと着込んで高級車を乗りまわすフランクだが、夜になると街の谷間に出没し、金庫破りにすご腕を発揮する。そんな彼が犯罪から足を洗って、喫茶店のレジ係ジェシーと結婚する気に。しかし、犯罪組織のボス、レオは彼の腕を惜しんで非情なまでのワナを仕掛けてくる……。特殊な大型バーナーで大金庫の鋼鉄のドアを溶かしていく金庫破りのプロセスを、細部に至るまで凝りに凝って見せていくシーンが、きわめてスリリングに描かれ、犯罪エリートの美学を感じさせる官能性にあふれている。後に「ヒート」を手掛けるマンの演出は、ビートがきいたモダニズム。このセンスは、彼のプロダクションが手掛けた大人気TVシリーズ“マイアミ・バイス“にそっくり受け継がれた。