三輪龍氣生の陶 命蠢く
21/4/17(土)~21/8/8(日)
菊池寛実記念 智美術館
三輪龍氣生(みわ・りゅうきしょう/1940-/本名・龍作、十二代休雪)は、陶によるシンボ リックかつ具象的な造形で、その時々の自身の心情を形にしてきた。率直ともいえるそれらの作品は、生命への喝采、官能の歓び、苦悩、死についての考察、祈りといった人間の本性とい える普遍的なテーマを示す。
三輪は江戸時代から続く萩焼の名門陶家に生まれ育つが、茶の湯の世界で親しまれる萩焼 の伝統に立脚するというよりも、やきもので自己を表現するために、既存の概念にとらわれない 自由な制作を求める。彫刻的なアプローチで成される造形は頭蓋骨や乳房、苦悶の胸像や鷲など具象的で、自身の死生観や憧憬、情念が投影されている。三輪はこの造形にやきものならではの質感や量感、自身を育む萩の風土や伝統を昇華させて制作を深めると同時に個性を表現するのだ。そして作品に立ち上がる圧倒的な生命感は、鑑賞者の内奥に潜む感情をも刺激し、命に訴えかける。
本展では、人間の根源に迫る三輪龍氣生の陶の造形を、初期の代表作をはじめ、2019 年に休 雪から龍氣生に改号後に制作された新作を含む 80 点によって紹介する。