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ぴあ

いま、最高の一本に出会える

©Varda Caivano

ヴァルダ・カイヴァーノ

19/10/11(金)~19/11/9(土)

小山登美夫ギャラリー

彼女の作品は、まるで自然や風景を想起させるような、多種多様な色彩や線、筆触の何層もの重なりあいで構成されている。そして意図的に画面に余白が残されており、未完にとどめたようなその描き方は、観る者の想像性をかき立てる豊かさや、限りない空間性を感じさせる。
色彩は、初期の鮮やかなものから、前回の2016年の個展では「グレーペインティング」と称するグレー、ブルー、ブラウンを基調とした抑制された色合いに変化し、今回の新作ではまた赤、黄色、緑などの鮮やかな色彩の作品が描かれている。
ペインティングに描き込まれた鉛筆のドローイングの線も大きな特徴である。それはキャンバスの枠の中にさらなる枠のような機能を与えており、まるで一作品の細部にいくつもの作品があらわれているようにも見える。
カイヴァーノは、さまざまな観察、熟考、発見、決断、計画や即興を繰り返しながら、色、線、素材、筆触と余白で奥行きや密度などを作品に表わしていく。そしてやがて彼女の思考の痕跡と作品自身が発しているような声や会話と重なる・・この関係性が育つまでのある一定の時間を経て、ひとつの作品が完成する。作品の色彩や線、筆触の何層もの重なりは、その時間の経過を表わしているかのようである。
カイヴァーノ作品とは、このような制作プロセスそのものであるといえ、以前作られた作品や同時に制作されている作品同士の連鎖も生じさせている。このように画面に立ち現れる効果を感じながら、時間と作品空間の接点を定着させようと真摯に表現された作品は、物質性と幻想性が同居した、まさに抽象絵画の可能性を追求しているといえるだろう。
彼女の作品はしばしば音楽や演劇の時間の流れとの共通性を見出される。
美術評論家の清水穰氏は次のように評した。
「カイヴァーノのコラージュはより流動的な、音楽的なものである。楽器がときどき弱音のアクセントをいれる他は沈黙(といっても環境音)が支配する音楽の楽譜のようだ。」
(清水穰「移行期の終わり 『ヴァルダ・カイヴァーノ』展」美術手帖、2017年3月号)
作家自身、作品と鑑賞者の関係において、次のように語っている。
「鑑賞者の眼前にひろがる絵画空間は(描き手によって)すでに決定されたものではなく、鑑賞者の目のなかにおいて解明されるものです。時折、私が自分の絵画を、転移の空間(トランジション・スペース)、あるいは内的空間(インナー・スペース)と呼ぶのはそうした理由からです。つまり、絵画とは再現/表象(リプレゼンテーション)ではなく、詩や音楽における上演(プレゼンテーション)のようなものです)」
(ヴァルダ・カイヴァーノインタビュー「想像を掻き立てる終わりのない絵画」聞き手:島田浩太朗、美術手帖、2017年2月号)
彼女のスタジオで完成された作品は、制作した瞬間には何か別なものに変貌し、さらに展示空間において、作品と展示空間の壁面、照明などが相互作用することで作家自身、そして観客によって新たな面を発見されるだろう。
カイヴァーノの作品をどのように作品を見、感じるかは鑑賞者の自由に委ねられている。
3年ぶりの小山登美夫ギャラリーでの本展、この3年の間に、カイヴァーノの作品はどのように変化し、また今回はどのように六本木のスペースと呼応していくのだろうか。

開催情報

ジャンル
ギャラリー

11:00~19:00、日曜・月曜・祝日休廊

料金

無料

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