いきることば つむぐいのち 永井一正の絵と言葉の世界

日本においてもコロナ禍がいよいよ深刻化してきた頃、１冊の本、『いきることば つむぐいのち』が芸術新聞社より刊行された。長年の創作活動のなかから生まれた、永井一正氏の“言霊”と“いきものたち”から紡がれた本書は、まさにこの状況と共鳴し、心にしみるものだった。「人間は地球上の生き物のひとつでしかない。」（本文p12）、「共に生きていく。すべてはつながっているから。」（本文p194）・・・今まで好き勝手に生きてきた人間どもが、いよいよ“共生”ということを真剣に考えなければならない窮地に追い込まれていることを、痛感させられる言葉が並ぶ。
今秋、ギンザ・グラフィック・ギャラリー（ggg）では、この本の豊かな世界観を展覧会というかたちで、立体的に展開することを試みる。１階では、『いきることば つむぐいのち』と、東日本大震災を機に刊行された『つくることば いきることば』のなかから厳選した絵と言葉による、異空の森が出現する。地階では、1980年代後半から現在まで、常に変化を遂げながら生みだされ続けている「LIFE」シリーズのいきものたちが、生き生きと躍動しはじめる。
今までの価値観を見直し、共生の時代を生きるエールとして、楽しめる。
また、展覧会に合わせて、高精細印刷技術で制作した永井一正氏の作品集も刊行予定。