幸せな時間

失われたときに思いを馳せる

『カヲリの椅子』など数々の短編作品を撮ってきた横山善太監督による物語のようなドキュメンタリー作。50年連れ添った老夫婦とふたりを取り巻く人々の様子の変化を孫娘の視点で捉えることで、人生の機微を映し出す。単に事象を捉えるだけのドキュメンタリーとは一線を画し、撮影者の感情の揺れ動きが観る者の心に強くうったえかけてくる1作だ。

50年連れ添った老夫婦。しかし、おばあちゃんは認知症に、おじいちゃんは癌が発症してしまう。母親は介護に追われ、おばあちゃんは孫のことを忘れてしまう。カメラはそんな老夫婦の間に流れる幸せな時間が失われてゆく様を刻々と捉えていくが……。

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