カタストロフと美術のちから展
18/10/6(土)~19/1/20(日)
森美術館
東日本大震災やアメリカ同時多発テロ、リーマンショックなど世界各地で絶えず発生するカタストロフ。多くのアーティストがこのような悲劇的な災禍を主題に、惨事を世に知らしめ、後世に語り継ごうと作品を制作している。その私的な視点による記録は、マスメディアの客観性を重んじる記録とは異なり、多勢の世論の影に隠れて見えにくくなったもう1つの事実を私たちに提示する。そこにはまた、社会の矛盾や隠蔽された問題の可視化を意図するものや、個人的な喪失や悼みを表現するものもある。
カタストロフは私たちを絶望に追い込むが、そこから再起しようとする力は想像力を刺激し、創造の契機となることもまた、事実なのではないだろうか。東日本大震災以降、国内外の数多くのアーティストが復興・再生への願いを込めて理想や希望を描き、より良い社会のために新しいヴィジョンを提示しようと試みている。
戦争やテロ、難民問題や環境破壊など、危機的な問題が山積する今日において、美術が社会を襲う大惨事や個人的な悲劇とどのように向き合い、私たちが再生を遂げるためにどのような役割を果たすことができるのか。本展は、負を正に転ずる力学としての「美術のちから」について注目し、その可能性を問いかける。