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愛の渇き

三島由紀夫の同名小説を蔵原惟繕監督、浅丘ルリ子主演で映画化した文芸メロドラマ。大阪の豊中付近の大邸宅。未亡人・杉本悦子は夫の死後も杉本家に住み続け、いつしか義父と深い関係に陥っていた。ある日悦子は下男・三郎の若く粗野な肉体のたくましさに心惹かれるが、三郎は女中に子を孕ませていた……。「執炎」と並ぶ蔵原惟繕監督の代表作で、果てることのない愛のさすらいが白黒画面の中に鮮烈に焼きつけられた。「執炎」で演技開眼したといわれる浅丘ルリ子が、ここでも期待に応えて難役を見事にこなし、日活唯一の演技派スターの地位を不動のものにした。特にルリ子扮する未亡人が、下男の三郎に自分の愛の渇きを訴えて三郎に抱かれるものの、彼の強い抱擁が単なる男の暴力にすぎないと訴え、三郎を突き放すシーンは圧巻。浅丘ルリ子の女心のもろさと毅然とした外面の二律背反ぶりが示す演技は、実に見事であった。なお、蔵原惟繕監督は、この作品を最後に日活を退社しフリーになった。

上映情報

ジャンル
日本映画
制作年・国
1967/日本
配給
日活
上映時間
99分

キャスト&スタッフ

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