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ぴあ

いま、最高の一本に出会える

春婦傳

同じ原作を映画化した谷口千吉の「暁の脱走」と比較され、公開当時は失敗作の烙印を押された不運な作品だが、時を経て清順再評価の気運とともに、この映画も見直されてきた。撮影当時は中国と国交がなく、御殿場の広野に中国の山脈を合成したという清順映画の中で珍しく特撮を多用した作品。激戦下で傷ついた男と塹壕の中で横たわり、空を見上げる女の目に砲火が花火のように美しく映えるシーンに、清順独特の映像美が見られる。第二次大戦中の天津、気性の激しい売春婦の春美は、副官の当番兵をしている三上に惹かれる。副官に言いなりの三上を反抗させようと春美は三上をけしかけ、二人は肉体を交わし合う。だが、それを知った副官は三上を最前線へと送った。一時は八路軍に捕えられた三上は無事に帰隊するが、軍法会議にかけられ……。宣伝では膨大な製作費を使った大野心作とうたわれたが、その実「ビルマの堅琴」(1956)の小道具の残り物を使うなど苦労があった。“日活流れ者“の清順らしいエピソードだ。

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