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舘鼻則孝 「Descending Painting 」

21/9/4(土)~21/10/9(土)

KOSAKU KANECHIKA

舘鼻則孝 Descending Painting, 2021 © NORITAKA TATEHANA K.K. Courtesy of KOSAKU KANECHIKA

2018年に開催した展覧会「Beyond the Vanishing Point」以降、舘鼻は消失点、また境界線という価値観を通して、此岸と対岸の双方の視点を結び付ける要素の探究を続けてき。そして、2020年に開催した展覧会「Dual Dialogue」では、《Duality Painting》として一対の視点を1枚の絵画の中に共存させた。
本展で公開される新たな《Descending Painting》は、幾層にも重なるレイヤー状の表現が作品に用いられている。それは単に立体的な絵画であるというフォーマットの探究以上に、舘鼻が向き合う「視点」への強い関心が表れている。そのような探究は、江戸時代の洛中洛外図屏風に代表されるような俯瞰図に対しての舘鼻独自の捉え方にも通じている。それは、俯瞰図における画面外に定められた視点(消失点)を表現するために、画面内の多層化されたレイヤーを用いて逆遠近法における表裏一対の空間を表現したという発想であり、多層化したガラスを用いた新作《Descending Layer》にも手法として応用されている。舘鼻は本展に際し、以下のようなステートメントを寄せている。

作品を通して自分と向き合うための視点の探究を行なってきた。
生と死、記憶と現実。そして、自分と他人。
対岸にある新たな価値観が一対の視点を結び付けるだろう。

本展のタイトルにもなっているこの《Descending Painting》シリーズは、仏教において、臨終を迎える際に、阿弥陀如来と菩薩が雲に乗り迎えに現れる場面を描いた「来迎図」に着想を得て制作されたもの。舘鼻の描く来迎図には、阿弥陀如来と菩薩が描かれる代わりに雷が描かれている。雷は、神道における依代に「神のみたまが依り憑く」場面をモチーフとして表しているとも言える。「生と死」や、その「境界線」という視点から日本独自の死生観を表現する舘鼻の作品上には、仏教と神道における双方の価値観が共存する「神仏習合」と呼ばれる習合思想が示されているのだ。
日本古来の文化的に価値の高い部分と現代の要素を組み合わせることで、新たな視点と世界観を提示すること、それが今の時代を生きる人に寄り添うことができるかどうか。それが常に舘鼻の活動の核にある。
いちど立ち止まり、これまでとは違う視点で見ることが必要な時代に私たちは生きている。そしてもう一度歩き出すために、舘鼻の作品はどのようなヒントを与えてくれるのでしょうか。本展では新作を35点展示する予定。この機会に是非ご高覧いただきたい。

開催情報

ジャンル
ギャラリー

11:00〜18:00、日・月・祝休廊

料金

無料

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