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ぴあ

いま、最高の一本に出会える

栗山斉

19/12/6(金)~19/12/22(日)

アートフロントギャラリー

栗山斉は1979年兵庫県生まれ。2011年に東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程を修了、同大学講師を続けながら現在まで制作活動を続けている。科学的な実験を思わせるその作風は、科学者が実験による現象を探求する中で、特殊な条件が時折見せる日常を離れた美しさを発見するように、我々に物事の新しい切り口をアートとして見せてくれる。2年前の北アルプス国際芸術祭では、2つの土蔵を使い、蒸発した水が冷やされ、雲や雨となって水に戻るという日常における一連の現象(流転)を、その土地の背景を持つ場所で独自の科学実験的装置を使い、再認識できる美的な形に表現した。日本は今、気候の変動により大きな災害が目立つようになっており、これまでの常識は通用せず、想定外の脅威によって甚大な被害を出すようになっている。栗山の実験的作品は、ごく当たり前の現象を提示しているのだが、その表現方法としては、北アルプスの山々を模した氷を使ったり、ランプの熱で水を蒸発させたりと、日常のそこにある「今」をあてはめることで、その裏に潜む「今」の変化や未来の状況をも暗示しているようだった。一方、最近の栗山の興味は「無」とは何か?に注がれているようだ。西洋における思想に「無から何も生じない」とする原理(Nothing comes from nothing)がある。これは紀元前5世紀にはギリシャで、また紀元前1世紀にもローマで繰り返し哲学の世界に現れ、強く主張されてきており、現在でも不変のように感じることができる。しかし、これに対し栗山は「無から生じるものも何かあるのでは?」(Something comes from nothing)という考えに基づきながら新たな実験装置型の作品を通して探求しようとしている。この度のアートフロントでの展覧会において栗山は、従来型の「インスタレーションの新作」と、「真空という目に見えない閉ざされたVoid空間を用いたいくつかの試行」の2つの展開で自己の問いかけを鑑賞者に提示する。
一つは栗山の代名詞ともいえる蛍光管を使ったインスタレーションだが、この作品も栗山の0=1を仮定した場合という哲学的で物理学的な問いからスタートしており、今回の展示ではある一つの宇宙が極度に圧縮され、数値を越えた特異点がギャラリーの中に生じたと仮定し、そこから多元的な別の宇宙が急激に成長し、広がっていくイメージを表出させようとしている。1980年代に提唱された俗にいう「ビレンキン仮説」という宇宙の起源にヒントを得た栗山は、真空のポテンシャルにも注目しており、もう一方の作品では、極度の真空状態をガラスの中に作り上げ、大気圧と真空によって作られる、特殊な形と光で直接知覚できない圧力を視覚化する予定。電子と陽電子の同時発生の理論からその前段に当たる真空という状態は、いわば多くの物理学者も認めざるを得ない現象世界に存在する無の現象であり、その無と呼ばれ得る状態を用いて作られる形は、この展覧会を通して無から何かが生じるという栗山の興味をこれまでとは違う形で視覚的なものとして表してくれるはずである。

開催情報

ジャンル
ギャラリー

11:00~19:00、月曜・火曜休廊

料金

無料

出品作家

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