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丹羽良徳 想像したはずの共同体 2017-20 copyright the artist, courtesy Satoko Oe Contemporary

丹羽良徳個展「想像したはずの共同体」

19/7/24(水)~19/9/6(金)

S.O.C Satoko Oe Contemporary

人は、感情と金銭で動くと言われているが、そのメカニズムの背景にはおのおのの成長過程で刷り込まれた価値観が大きく影響している。つい先日までの常識では、映像は真実を写す道具として世界で認識されていたものが、テクノロジーの発達によってあっさり崩された。しかしながら、人はどこかその映像そのものが真実であると信じたい『欲望』をどこかに感じているのも確かである。今日では、およそあらゆるニュースやメディアに流されるソースや情報が配信者の意思に沿って改変され、捏造され、拡散されつつあるが、あらゆる情報が偽物であると疑わないといけない世界は人を疲弊させるだけである。このようにフェイクニュースがもたらす問題は、現実社会における混乱の発生、権力者による政治利用の他にも、人間が生活を営む上で重要となる「理性」を破壊するのではないかという危惧すら感じつつある。
例えば、写真技術が開国の流れと共に欧州から幕末の江戸時代にもたらされた時の人々は様々な反応をした。未知の技術に驚いた人々は本当に様々なことを考え、根拠もなく「魂が抜き取られる」「手が大きくなる」と考える人も多く、事実残された写真を見てみると手を裾の中に入れて写っている写真が多いのは、これが原因だと言われている。今聞くと笑いばなしにしかならないような話だが、未知の技術に説明を施すことで人間の理性を守ろうとするため、未知のテクノロジーとの出会いは人々に「考える機会」を与えた。しかしながら、現代社会では次から次へと登場する新しい技術に慣れてしまった現代人には既にこのように機智に考えることができなくなってしまった。この展覧会は、映像メディアに内在する現代的課題であるフェイクニュースを批評的に捉え直し、これらの問題が人に及ぼす心理的影響を考察するものである。
多くの丹羽良徳の作品は、パフォーマンス、映像、インスタレーション、さらには展覧会期間中に進行するプロジェクトを含むあらゆるメディアを横断した社会介入行為の形式を取る。明示される作品タイトルはスローガン的で自己説明的で、そしてほとんどの場合は非生産的で無意味な行動を公共空間で実現する過程の一部始終を映像記録に収め、明示されたタイトル内容を実行する過程で生まれるさまざまな軋轢をさらすことにより、制度化された公共概念の外縁を描くプロジェクトを国内外で多く実現する。また、丹羽良徳は2016年に活動拠点をオーストリアの首都ウィーンに移し、映像メディアが与える社会的な機能の側面に注目してきた。この展覧会は、2020年に迫る東京オリンピックを背景に、丹羽が2017年から2020年のオリンピック直前まで制作し続けるオリンピック開催を巡るフェイクドキュンタリーを中心とした作品群「想像したはずの共同体」の展覧会企画である。
作品は、戦後64年の東京オリンピックに重ね日本が歩んだ経済成長に重ね経済界からは熱烈に歓迎されたことに立ち戻る。しかしながら、歴史上の国家的危機や福島の災害による放射能汚染、国際化における移民問題などの経験を経て、もはや日本はかつてのような状況ではないことは明らかである。このプロジェクトでは、2020年東京オリンピックを舞台として各国のオリンピック選手、監督へのインタビューや1964年に開催された東京オリンピック当時の記録映像、安倍首相の政治演説などオリンピックをめぐる様々な立場や、時代が異なる言説をつなぎ合わせ、2020年東京オリンピックの全種目において、誰もが実際には起こるとは思えない日本人選手のボイコットという設定の未来のフィクションドキュメンタリー映像である。映像全体のストーリーと、登場人物の発言内容が相違する状況を創作することによって、我々が予測または欲望している未来像はどのような思想と結びつき、どこから生まれるか、それは自分が希望する未来がそのまま予測する未来像として反映されるものなのかを考えると同時に、我々日本が歩んだ戦後近代史を改めて考え直す。

開催情報

ジャンル
ギャラリー

12:00~19:00(土曜・日曜は17:00まで)、会期中無休

前期:2019年7月24日(水)〜 8月9日(金)
後期:2019年8月25日(日)〜 9月6日(金)

料金

無料

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