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商船テナシチー

1920年発表の、日本を含めて世界中で上演され好評を博した戯曲をもとに、原作者自身とデュヴィヴィエ監督の二人が映画化にあたって台詞や動作を書き改めた。現実への順応が結局は人生を切り開いていくというのが主題の人間ドラマ。パリの失業者バスチアンとセガールはカナダ移住を決意してアーブル港へやって来た。船を待つ何日かの間に宿の女中テレーズに恋をするセガール。だが、ふとしたことからバスチアンとテレーズが結ばれてしまい、二人はフランスで新しく人生をやり直すとセガールに置き手紙をして港を去る。残されたセガールはもともとカナダ行きにそれほど熱心ではなかったのだが、二人が去ったあと心から自分の人生を切り開いていくことを誓い、カナダ行きの商船テナシチー号の甲板に立つ。主人公の3人をはじめとして、脇役のすべてにまで配慮が行き届いた演出と、それにこたえた演技陣の実力によりきわめて完成度の高い作品に仕上がっている。

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