マンハッタンの二人の男

物語は、ニューヨーク国連本部の本会議に出席しているはずのフランス代表ベルティエがいないことを不審に思ったジャーナリストが、カメラマンの協力を得てその行方を追うことから始まる。レジスタンスの勇敢な闘士だったベルティエは、愛人である女優の部屋で急死していたのだ。スキャンダルを隠そうとするジャーナリストと、それで大金を得ようとするカメラマン、二人の男たちの思惑がマンハッタンの夜にうごめく……。ニューヨークの夜の雰囲気が鮮やかに捉えられ、モダン・ジャズや、酒、煙草の紫煙に満ちた闇のけだるさを存分に味わうことができる。「賭博師ボブ」がパリへのラブレターなら、本作品はニューヨークへのそれであると、メルヴィル自身も語っている。結末に見られるメルヴィルのレジスタンスへの敬意と思い入れにも深い味わいがある。