折元 立身：Postcard Drawings and Postcards as Documents

川崎出身/在住で国際的な活動を展開する美術家、折元立身(b.1946)の個展を開催する。
昨年の尾道市立美術館での個展「Past & Now」は作家の現在までの活動を大きく6つのシリーズとして分類し構成したものだった。
バゲットで顔を覆い尽くした「パン人間」や、お母様である男代さんとの共同作業である「アート・ママ」、大勢のお年寄りにお集まりいただいて一緒に昼食を摂る「おばあちゃんのランチ」などの代表的シリーズで知られている折元だが、今展ではこれまでに集中して紹介されることのなかった新旧2つのハガキのシリーズを発表する。
１つは旅先で入手した絵ハガキに絵手紙を描き、親しい人々へ送るメールアートのシリーズ。ぶっきら棒な図と旅先での日々について語りかけるような言葉はそれ自体が受け手との対面のイベントである。今回はこのシリーズの中から、近作のベルリンとロンドンから亡きお母様へ投函した絵葉書のシリーズを発表する。
もう1つのシリーズは一時的なパフォーマンスやアクションの多い折元だが、その儚い行為の事後に記録としてポスターやチラシなどの印刷物を制作して現在も自ら知人へ届けている。特に活動初期、印刷費用の高価だった80年代はそれらをポストカードとして制作していた。そこには小型のハガキ大ながら、必要な情報と図が記されていて、活動を今も伝えるのに充分な内容が留められている。今回はこれらのカード全作品（約180点）を実寸大でまとめた冊子と展示で紹介する。
葉書という小さな支持体、郵便ポストと言う公共建築と空間、そして地球上を駆け巡っているその配送の仕組み、この古くからある多くの人類共有の簡単で身近な形式を素材として最大限に活かし使いこなしているのもオリモトタツミの大きな特徴である。