ローラーボール〈1975年〉

2018年、世界は６つの企業によって支配管理され、戦争も貧困も犯罪も知らぬ人々はその闘争本能のはけ口を、ローラーボールという残酷なスポーツに向けていた。競技選手の中でもジョナサン・Ｅの人気は絶大で、それに不安を感じた企業の支配者たちは、彼を競技の中で合法的に殺そうと謀る。鋼鉄カバーつきのオートバイやローラースケートに乗った選手たちが、長さ150メートルの円型トラックで重さ10キロの金属球をめぐって繰り広げる血みどろの競技。凄惨なスペクタクルで、未来社会を描いた映画のなかでもこれは異色中の異色。男女の愛さえ管理される時代の恐ろしさをクールに捉えている。