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上田暁子「A Walk of Broken Theatre」

21/4/17(土)~21/5/22(土)

ユカ・ツルノ・ギャラリー

Akiko Ueda "DÉJÀ-MAIS-VU (A Walk of Broken Theatre)", 2020 photo by Philippe De Gobert

ユカ・ツルノ・ギャラリーは、上田暁子の個展「A Walk of Broken Theatre」を2021年4月17日(土)から5月22日(土)まで開催する。
刻一刻と変わり続ける流動的な出来事の成り行きを絵画空間として構成することに関心を寄せてきた上田は、自身の制作過程を見返し分析することで、新たな制作方法とイメージ形成に挑戦してきた。本展では、ベルギーを拠点とするなかで培われ、制作過程そのものが絵画空間のイメージ形成に影響を与えながら、複数の時間や影響関係を内包した絵画として制作された作品を展示する。
上田暁子は近年、キャンバス上に重ねられた自身の筆づかいや筆跡がいかに絵画を探求するための要素へと変容していくのか、自身の絵画制作過程そのものに目を向けてきた。そこから、偶発的な筆跡を辿り、イメージが発生する瞬間とそこに存在する時間そのものを反芻することでイメージの変換を重ねていく制作方法を試みている。
とくに最新シリーズである「DÉJÀ-MAIS-VU」は、絵画上に最初に置かれた筆跡をなぞるために、リネン地キャンバスの灰色に限りなく近い色を使ってイメージが重ねられている。以前の色鮮やかな作品群と比べると描かれるイメージの抽象度があがり、制作上の過程一つ一つが織りなす空間により注意が向けられていることがわかる。上田は、このイメージ形成の過程における視覚的な感覚をフランス語のdéjà-vu(既視感)とjamais vu(未視感)を組み合わせた造語「DÉJÀ-MAIS-VU」と呼んでおり、絵画空間における筆跡やイメージがすでにそこにある見慣れたものとして立ち現われると同時に、どこか新鮮で新しいイメージが紡ぎ出されていくような両義的な意味を持っている。それは偶発的に置かれた筆致を、絵画上の層として重ねていく上田にとっては必然的な反芻を通して、偶発的に立ち現われる像へと導く方法論だ。このような制作方法を上田は、その過程で展開される時間や空間、そしてそこで発生した出来事を絵画上で視覚化する実践として考えている。
本展タイトル「A Walk of Broken Theatre」は、「DÉJÀ-MAIS-VU」シリーズの一つからきており、劇場に関連したモチーフは過去の上田の作品のなかでも登場してきている。それは空っぽの空間でありながら、あらゆることが起こりうる出来事を内包するメタファーとして現れている。上田にとって劇場とは、建物の内部だけでなくその劇場を含む周辺環境と一体となって影響しあう場であり、出来事を通して変化し続ける生きた存在だ。それは、下絵を決めずに描き出され、反芻的に拡がっていく出来事の反復を通して新たな像が紡ぎ出されいく上田の探求と実践の場としての絵画空間とも通底している。

開催情報

ジャンル
ギャラリー

11:00~18:00、月、日、祝休廊

※金曜日は20:00まで

料金

無料

出品作家

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