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マキ・ナ・カムラ「まるで、* 砂糖が水にだんだんとけゆくのをみていた子どもが、自分の体はそんなふうにお風呂にとけ出さないのにな、とひとり問うてみるかのようなもの展」

19/9/7(土)~19/10/5(土)

ANOMALY

DSM III, 2019, H140 x W190cm , Oil and Water on Linen © Maki Na Kamura, Photo by Jens Ziehe

マキ・ナ・カムラ(大阪生まれ/ベルリン在住)は、愛知県立芸術大学で絵画を学んだ後に渡独、デュッセルドルフ芸術アカデミーで、ヨーゼフ・ボイスに師事したイェルク・インメンドルフのもとで学ぶ。2013年にファルケンロート賞を受賞、2014年にクンストラーハウス・ベタニエン(ベルリン)、および、オルデンブルガー・クンストフェライン(オルデンブルグ)で個展を開催、2015年にビルバオ・アルテ現代美術センター(ビルバオ)で個展、2017年にはオストハウス美術館(ハーゲン)で大規模な個展を開催、CFA(コンテンポラリー・ファイン・アーツ・ベルリン)、ドーン・ダエネーンス美術館(ベルギー)でも立て続けに個展を開催するなど、ヨーロッパを中心に目覚ましい活躍を続けている。ちょうど現在はベルリンのグーツハウス・シュテーグリッツで個展が開催されている(9/29まで)。また、パリ市立近代美術館などに作品が収蔵されている。
マキ・ナ・カムラは、ピアニストが作曲家の作品を自由に解釈するように、あるいは、かつてピカソがマネの作品を通じて新しい表現を見出したように、ジョルジョーネ(1477 / 1478-1510)、ニコラ・プッサン(1594-1665)、ピエール・ピュヴィス・ド・シャヴァンヌ(1824-1898)、ジャン=フランソワ・ミレー(1814-1875)などの美術史上の画家への言及を明らかにしつつ、ルネサンスから現代までのヨーロッパの絵画を積極的に活用しながら、革新的かつ独特な手法で新たな表現を獲得している稀有なペインターである。油絵具と水彩絵具を混ぜ合わせるなどして開発された独自のカラーパレットから生まれる、光沢や瑞々しさをたたえた透明感のある美しい色彩、輪郭を持たない繊細な色面が重層的に配置されたダイナミックな画面、身体的所作を連想させる印象的なブラッシュストロークは、多くの人々を魅了してやまない。
ナ・カムラは、模倣や忠実な再解釈に囚われない、結果として新しい絵を描いてきた。画集で見つけた16〜18世紀の絵画や版画作品の画像をスキャンした後、簡易なレーザープリンターで出力することで現われる色すじ(線)や縞模様を取り入れ、現代に至るまで何世紀にもわたる時間の厚みを絵画に包含させようと試みる。また、遠近法(透視図法)に着目し、「地平線」を画家が人工的に作り出したフィクショナルな視覚と捉え、視界に入る「波」を超え続けて航海する船乗りの壮大な冒険と重ね合わせ、実際に航海学まで学んで、世界の新しいイメージを創出するための重要なエレメントとして、「地平線」をたびたび描く。さらに、キャンバスの周囲に余白を描くことでフレーム自体を絵画に内包し、それが「完結した絵画であること」、「絵画自体をモチーフにしていること」を声高に表明する。また、作品タイトルには、一定期間に制作された作品を定義するための略語とローマ数字を採用し、主題を曖昧にすることで、意図的に絵画を解放しようと試みる。
「イメージは生きて変化し続けている。見る人がいる限り、イメージは様々な方法で取り込まれ、次の創造へとつながっていく」とナ・カムラが言うように、過去(の絵画)のイメージを元に着想される新しい解釈が現在(の絵画)のイメージを更新していくのだろう。
本展では、ナ・カムラの最新ペインティングを紹介するほか、文筆家・キュレーターの上妻世海氏による書き下ろしのテキストが収録された小冊子を発売予定である。また、展覧会初日には、ナ・カムラと上妻氏によるトークイベントも開催する。
多様化する現代の美術表現のなかで、絵画の本質と可能性を探求し続けるペインター、マキ・ナ・カムラの個展を楽しむことができる。

開催情報

ジャンル
ギャラリー

11:00~18:00(金曜は20:00まで)、日曜・月曜・祝祭日休廊

料金

無料

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