異国の情景 アジアへの熱情
18/9/8(土)~18/12/9(日)
大田区立龍子記念館
日本画家・川端龍子(1885-1966)は、1929年に自身の美術団体である青龍社を設立すると、1930~40年代の激動の時代に社会情勢や国民感情を象徴的に描いた作品を発表した。「海の生命線」と当時注目を集めた南洋諸島をテーマに《椰子の篝火》(1935年)や《海洋を制するもの》(1936年)、日中戦争が始まると今度は「陸の生命線」をテーマに《朝陽来》(1937年)や《源義経(ジンギスカン)》(1938年)、《香炉峰》(1939年)といった大作を次々に制作した。それらの作品群は、まさしくアジアへの熱情ともいえる画家の表現欲求から生み出されている。
本展では、異国の「風景」から「情景」を描きだした龍子の昂揚感から、太平洋戦争末期に描かれた《水雷神》(1944年)に顕著に表される精神性的なテーマへの移行を見ていくことで、戦争の時代を描いた龍子の使命感と制作に対する信念にせまる。