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利部 志穂 SHIHO KAGABU マントルプルーム ― イザナミ、ペレの怒り。

19/9/7(土)~19/10/6(日)

KAYOKOYUKI

Hina's way 2019 ink-jet print

利部志穂は、生活の中で不要となったものや壊れて廃棄された拾得物、あるいはホームセンターで購入できる建築資材など、様々なモノを使用して彫刻作品を制作してきた。利部の作品においては、それらの多様なモノが有する日常的な意味や機能は解体され、組み合わされ接合されることによって新たな関係性が形成され、空間の中に置かれていく。利部は、作品を構成するモノと自分自身は、どちらも同じく地球上の法則に従って存在しているのであり、その意味で、両者はつながっているのだと言う。これは、独立した存在としてモノそれぞれを認識していることを示している。「人間が定義したルールは疑うけれど、地球的・宇宙的なルールを信じる」と言う利部は、モノに近づき、モノが発する声を聞きながら、その一部となって、自然の摂理とも言える生成や循環を展示空間に構築していくのである。
我々の先祖は、人間には抱えきれないような自然の驚異や説明のできない事象を、神話や民話などの物語によって考え、理解しようと試みてきた。本展覧会のタイトル「マントルプルーム ― イザナミ、ペレの怒り。」は、地殻から発生する流動化したマントルの柱が地表に吹き出す火山活動が、日本とハワイに伝わる火山の女神であるイザナミとペレのように、嫉妬や怒りから人々を焼き尽くす女性になぞらえて神話化されていることからつけられている。このタイトルに示されているように、本展覧会では、物理的な自然現象という側面と、人間的な物語性という側面の双方向からアプローチされている。
地球の奥深くに秘められたエネルギー(=マントルプルーム)が地表に噴出することで起こる火山活動。普段は目に見えない巨大なエネルギーは、ある時は地震として、またある時はマグマとして、我々の眼前に立ち現れ、地球そのものを変形させる。意味が解体され、機能を持たなくなったモノを新たに発見し、自然界の法則のもとに関係性を再構築していくという利部の彫刻制作のプロセスは、マントルプルームが、地球の内部で重力に抵抗し、様々な美しい柱を形作りながら噴き出すというプロセスになぞらえることができる。そして両者は、「地球的・宇宙的なルール」のもと、必然なプロセスだと言えるだろう。利部にとって、彫刻とは、「時空を自由に移動する事が出来るメディア」であると言う。利部の彫刻は、地球の太古から秘められたエネルギーであるマントルプルームが時空を超えて地表に噴出するように、時空を刻みながら形作られていくのである。

開催情報

ジャンル
ギャラリー

12:00~19:00、月曜・火曜・祝祭日休廊

※日曜は17:00まで

料金

無料

出品作家

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