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キーワードは“セカンドチャンス”。『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』監督が語る

ぴあ

ジョン・ワッツ監督とスパイダーマン

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全世界で驚異的なヒットを記録している映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』が7日(金)から公開になる。可能な限り内容を知らずに映画館に駆けつけたい人も多いため、本稿でも多くは明かせないが、すでに公開になっている予告編では過去のスパイダーマン映画に登場した悪役たちが出現しており、前2作とは異なる展開になりそうだ。なお、トム・ホランド主演のスパイダーマン映画をすべて監督してきたジョン・ワッツは、本作は“セカンドチャンス”を描く作品だという。

どこにでもいる平凡な高校生ピーター・パーカーはある日、驚異的な能力を持つようになり、その正体を誰にも知られることなくご近所のトラブルや事件を解決するようになった。しかし、覆面をしたピーター=スパイダーマンの存在は世界中に認知されるようになり、アベンジャーズの仲間と共に世界の危機にも立ち向かうように。やがて、ある事件が起こり、世界中にスパイダーマンの正体がピーター・パーカーだとバラされてしまう。

これが前作『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』までの物語だ。この後、ピーターはどうなるのか? 新作はどこへ転がっていくのか? ワッツ監督はこれまで通りの方法で脚本家チームとアイデアを練ったと振り返る。

「輪になって座り、ストーリーを話し合い、一緒になってそれを考え出しながらニュアンスを探す感じだ。コンピューターの前に座って、ページを印刷して、さあこうしよう、というのではなくね。その場にいる全員にとってすごく大切なことなので、彼らと一緒に見つけ出したいと思っていたんだ。その結果すごくクールな、いや、夢のようなという言葉を繰り返してしまうけど、共同作業のプロセスになった」

そこでチームが思い付いたのが、時間や空間を自在に操ることのできるドクター・ストレンジを登場させることだった。劇中で彼が何を行うのかは不明だが、予告編を見る限りでは彼が何らかの魔術を使った結果、多次元世界(マルチバース)の扉が開いてしまい、過去のスパイダーマンの映画に登場した悪役たちが出現してしまう。

「アルフレッド・モリーナを再び見ることができたら、ウィレム・デフォーをマスクなしで見ることができたら、ジェイミーが出てくれたら、どんなに素晴らしいだろう、とね」

サム・ライミが監督したスパイダーマン映画で、アルフレッド・モリーナとウィレム・デフォーはドクター・オクトパスとグリーンゴブリンに扮した。マーク・ウェブ監督が手がけたスパイダーマン映画ではジェイミー・フォックスが悪役エレクトロを演じた。本作では彼らが次元を超越して登場することになる。

「これまで多くの素晴らしい俳優が出演しており、彼らを一堂に集め、それぞれのストーリーを別の形で終わらせる方法を見つけることができたと思う。彼らはある意味、事故やテクノロジーのミスの犠牲者のようなものだ。自信過剰からくるものだったり、純粋に偶然によるものだったり。ジェイミー・フォックスが電気ウナギの水槽に落ちたのも単なる事故だったが、そういうことをきっかけとして、セカンドチャンスというストーリーを伝えることができたんだ」

人は失敗してしまうものだ。それでも人はセカンドチャンスを得てやり直すことができる。これはスパイダーマンにも言えることだろう。本作の主人公ピーター・パーカーは神でも偉人でもない平凡な高校生で、スパイダーマンとして活動している時に何度も失敗してきたし、何度も誤った選択をしてきた。しかし、私もあなたもピーター・パーカーもやり直すことができる。セカンドチャンスがある。かつてワッツ監督はこう語っていた。

「僕が若い人に言いたいのは、“失敗したっていいんだよ”ってことかな。失敗は大人になるための大事なステップだしね。スパイダーマンだって、桁ハズレに大きなミスをするんだから(笑)、少々のことには落ち込まずに頑張れよって言いたいよ」

ワッツ監督も本シリーズを手がけた当初は大規模な予算の映画を手がけた経験がなく、撮影前に動画コンテを何度も作り直して事前に失敗を重ねながら準備を積んだという。

映画『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』では、失敗を繰り返してきたスパイダーマンと、失敗や不幸な偶然から悪の道に走ってしまった悪役たちの”セカンドチャンス”が描かれることになりそうだ。時には“二度と回復できない”失敗だってあるだろう。時間は戻せない。運命は変えられない。それでもこの世界の住人たちは再度、挑戦する。やり直すことを諦めない。

本作はおそらく観客の予想外の出来事が次々に起こる作品になりそうだが、その根底にはスパイダーマン映画がこれまで描き続けてきた“失敗しながら前に進む人々の物語”がしっかりと置かれているようだ。

『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』
1月7日(金)公開

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