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令和元年10月歌舞伎公演『通し狂言 天竺徳兵衛韓噺(てんじくとくべえいこくばなし)』

19/9/29(日)

文化元年(1804)、江戸の蒸し暑い夏の河原崎座、主な立役者たちは避暑や巡業で江戸を出払っている時期、南北を見込んで新作に挑戦した初代尾上松助(後の初代尾上松緑)。二人にとってこの『天竺徳兵衛韓噺』が出世作となった。後も二人は怪談ものやけれん芝居を多く世に出していく。 主人公の天竺徳兵衛は実在の人物で、播州(兵庫県)生まれ、豪商の貿易船で東南アジア諸国を経めぐり、その様子を見聞録に残している知識人だ。お芝居ではその天竺帰りの徳兵衛が、蝦蟇(がま)の妖術を使って、国の仇、親の仇として、日本転覆を狙うというもの。奇想天外、発想とスケールの桁違いが南北らしい。 みどころはその蝦蟇が登場する場面だ。舞台いっぱいに広がる屋敷の大屋根の上にまたがるように現る大蝦蟇。体長2.5m。その上で、正体の露見した徳兵衛が見得をし、大屋根を押しつぶす屋台崩しは圧巻。こんな歌舞伎演目、他にはない。また、水中早替り、”水中六方”もあり、当時の芝居小屋が沸きに沸いた様子が目に浮かぶ。 今回の徳兵衛をつとめるのは中村芝翫。古風で立派な顔立ちと大柄が、どこかエキゾチックな徳兵衛のこしらえにうってつけだろう。 ちなみにこの大蝦蟇、役者が使う道具であるため、大道具ではなく小道具の範疇に入るという。また上演のたびに蝦蟇の雰囲気も少しずつ変わっている。その時々の演出スタイルに合わせ、リアルだったり、想像上の動物のようだったり。今回はあくまでも古風な蝦蟇スタイルで上演とのことだ。

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