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いよいよ9月、秋本番のクラシックシーズン開幕!  果たして今後の展開や如何に⁉

ぴあ

20/9/1(火) 12:00

Refat/Shutterstock.com

9月を迎え、本来ならば、秋本番のクラシックシーズンを彩る様々なコンサートの話題で盛り上がるクラシック界も、今年は流石に静かだ。それもそのはず、オーケストラ公演を中心に、コンサートは徐々に再開し始めたものの、新型コロナウィルス感染拡大防止のために入場者数が制限され、コンサート自体も休憩なしのケースが散見。プログラム自体も演奏者の密を避ける曲目に変更されるという状況だ。

さらには、この状況下において、来日アーティストの公演が実現出来るのかという問題がのしかかる。クラシック・コンサート市場の中心は来日アーティストが占めるだけに、招聘元や主催者に於いては頭の痛い状況が続いている。何より先が見えないことが最大の難点だ。

その影響をモロに受けているのが、公演のためのプロモーションだ。先が見えにくいだけに、これまでのような宣伝活動がしにくい状況は、チラシ制作や広告宣伝活動にまで大きな影響を与えている。

首都圏におけるクラシック業界の宣伝と言えば、各コンサート会場でのチラシ配布が大きな役割を担っていた。オーケストラやオペラに室内楽&ピアノなど、各会場で行われる公演の関連公演に的を絞ったチラシは、次のコンサートを選ぶための重要なツールだ。対象となる顧客がだぶることや、手にとってもそのまま捨ててしまう人が多いことから、“資源の無駄遣い”と言われ続けながらも、プロモーションのためには欠かせない存在であったことは否めない。

特にアーティストの姿を中心に据えた美しいチラシの数々は、日本独特の文化ともいえそうな存在だ。そのチラシがコンサートの減少によって配布できない状況となり、それが理由で、チラシ自体を印刷しない公演が増え始めている。

同様に影響を受けているのが、無料配布のフリーペーパーだ。WEBでの展開が中心になりつつある現代に於いても、紙媒体で見られるのならば手に取りたいというのが人間の心理。しかも年齢層の高いファン層が多いクラシック界においては尚更だ。チラシ同様、配布会場が減ったことによって、読者数も激減。当然宣伝効果にも影響する。それよりなにより、入場者数の制限によって収入が減ることで、広告宣伝費を捻出しにくい主催者の状況が、広告収入によって成り立っているフリーペーパーの存在を脅かしているのだ。フリーペーパーにおける主要メディアのページ数の激減がそのことを明確に示している。

一方、“映画館におけるクラシック鑑賞”という新たなスタイルのエンタティンメントは、コンサートとは違う形で再開への道を歩んでいるように見受けられる。15年目を迎える「METライブビューイング」は、大元のニューヨーク・メトロポリタン歌劇場での新シーズンが年内中止となったことによって、当然上映もできなくなったのだが、恒例の「アンコール上映」において効果を発揮しているのが14年間に積み上げられた名作映像の数々だ。

「オペラで世界旅行」のテーマの下、世界各地が舞台となったオペラ作品を地域ごとに分類し、バーチャル世界ツアーを提案したことは、まさにコロナ禍におけるスマッシュヒットに感じられる。空調の効いた映画館でゆったり楽しむオペラの数々は、映画ならではの上映日数の多さと相まって、着実に実績を上げつつあるようだ。

さらに注目すべきは、クラシック音楽をテーマとした映画の数々だろう。8月に上映が開始された、旧ソ連の作曲家ハチャトゥリアンの姿を描いた『剣の舞、我が心の旋律』や、9月4日からスタートする、20世紀最大の歌手の1人パヴァロッティの魅力を集約した『パヴァロッティ、太陽のテノール』に、南米出身のピアニストの数奇な人生を描いた『マイ・バッハ〜不屈のピアニスト』など、注目作が相次いで公開される。

映像といえば、WEB配信でのコンサート活動もすっかり定着し始めたクラシック界だが、生のコンサートはやはり格別だ。まずは、この秋予定されるコンサートが実現することを期待したい。あのアーティストは来日するのだろうか?年末恒例の『第九』はいったいどうなるのだろう?。などなど、心配事は無数にあるこの秋のクラシック界だけに、withコロナの時代に対応する新たなイベントの誕生と、それを後押しするプロモーションの出現に期待しつつ、今後の展開を見守りたい。

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