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RAISE A SUILEN、1stアルバム『ERA』チャート健勝 ライブで体感したいエネルギッシュなアレンジの作品に

リアルサウンド

20/8/29(土) 10:00

参考:2020年8月31日付週間アルバムランキング(2020年8月17日~2020年8月23日)

 8月31日付のオリコン週間アルバムランキング、首位は発売3週目にして勢い衰えない米津玄師『STRAY SHEEP』。同作は1週目にして出荷数が100万枚を越え、2週目の段階でミリオンセラーを達成しているが、今週の推定売上枚数は135,351枚。『BOOTLEG』と同様のロングセラーを予感させる。ほか、初登場としては、2位RAISE A SUILEN『ERA』(28,835枚)、4位Aimer『花の唄/I beg you/春はゆく』(13,019枚)、5位下野紘『WE GO!』(12,089枚)、6位楠木ともり『ハミダシモノ』(9,208枚)、7位 BiS『ANTi CONFORMiST SUPERSTAR』(8,599枚)、8位 ITZY『Not Shy』(7,334枚)、10位Sou『Utopia』(5,212枚)となっている。おおよそ平常運転の範疇といった数字だが、それだけに米津の存在感が際立つ。

 今回ピックアップするのはRAISE A SUILEN(以下、RAS)の1stアルバム『ERA』。ブシロードのメディアミックスプロジェクト「BanG Dream!」(以下、バンドリ)発のバンドで、演者自身が歌唱だけでなく楽器を実際に演奏する、Poppin’PartyやRoseliaにつぐ3つ目のリアルバンドだ(もともとはキャラクター化に先がけてプロジェクト内のバックバンドとして結成されたという点で、他のバンドとはやや異なる経緯を持ってはいるが)。名前の通り弾けるようにポップなPoppin’Party(以下、ポピパ)、クールに決めているがパフォーマンスは熱いRoseliaに比較すると、エレクトロニックでアグレッシブなサウンドを多用したミクスチャー的な音楽性だ。

 ギターの重心は軽めでシンセリフの存在感のほうが強く、スタッター・エディットやワブルベースも多用されるエネルギッシュなアレンジは、いかにもライブ映えしそうだ。フェス的、と言ってもいいかもしれない。ボーカルにしても、ポピパやRoseliaがアンサンブルやハーモニーをしっかり聴かせるのに対して、RAISE A SUILENはキャラ間の掛け合いというか、複数の声が暴れまわっているような印象がある。楽曲に没入させるよりも壁を破ってこちらを煽ってくるような感覚に、一種のライブ感のようなものを覚える。

【公式】RAISE A SUILEN「A DECLARATION OF ×××」ライブFull映像【BanG Dream! 7th☆LIVE】

 実際、RASはすでに単独公演も含めパフォーマンスの場数は多く踏んでおり、その模様はライブやソフト以外にもYouTubeのオフィシャルチャンネル(「バンドリちゃんねる☆」)で見ることができる。観客へのアピールや煽りを含めた派手なステージングで、音源に聴き取れる通りのインパクトだ。ライブでのパフォーマンスをリアルへの窓口のみならず、メディアミックスの一環として重視するバンドリの特徴が、こうした一貫したバンドの個性につながっているように思う。

【公式】RAISE A SUILEN「EXPOSE ‘Burn out!!!’」ライブFull映像【Poppin’Party×SILENT SIREN 「NO GIRL NO CRY」DAY2】

 という具合に、ライブがプロジェクトの核であるバンドリは、2020年のコロナ禍に大きな影響を受け続けている。5月3~5日に開催予定だったライブ『BanG Dream! Special☆LIVE Girls Band Party! 2020』は延期日程の目処が立たず実質中止になった。しかし8月には『BanG Dream! 8th☆LIVE 夏の野外3DAYS』を感染対策の徹底のうえ開催にこぎつけた。ブシロードの代表取締役会長である木谷高明はしばしばメディアに登場してコロナ禍以降のエンタメ産業に関するオピニオンを発信しているが、困難な状況下で実績を徐々に積み上げていると言えよう。

 単純に作品としての個人的な好みで言えばポピパやRoseliaのほうが聴きたい気持ちになる。しかし「これライブで見たら絶対楽しいんだろうな……」と思されるのはRAS、というのがアルバムを聴いての率直な感想だ。それだけに、大規模ライブやフェスでの活躍に触れる機会がかつてのように戻ってきてほしいところだ。

【公式ライブ映像】RAISE A SUILEN「R·I·O·T」/THE THIRD(仮) 2nd ライブ

■imdkm
1989年生まれ。山形県出身。ライター、批評家。ダンスミュージックを愛好し制作もする立場から、現代のポップミュージックについて考察する。著書に『リズムから考えるJ-POP史』(blueprint、2019年)。ウェブサイト:imdkm.com

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