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【配信】科学映像館

20/6/19(金)

『生命誕生』

日本の科学映画の名作を観られる無料配信ウェブサイト「科学映像館」をご存じだろうか。オープンは2007年だから、実はかなりの歴史を持っている。ほとんどが長らくフィルム素材しか存在しなかった過去作を、著作権所有者の理解を得ながらデジタル化し、インターネットにのせてゆくのは、資金も必要だが、とにかく粘り強さを要する仕事だろう。科学映画は自主企画よりも企業スポンサーで作られた映画が多いから、各方面の理解を得るのもひとつのハードルとなる。 「勉強になること」も大切だが、それ以上に知的興奮をかき立ててくれる作品が多く、学校教育の現場でも利用できそうだ。実際、東日本大震災の後に津波のメカニズムを解説する映画が中学の授業に活用されたり、昆虫の生態記録映画を児童に見せた小学校もあったようだ。そして扱っている分野も思いのほか広い。自然や動植物、医学、工業などのジャンルは当然として、人類学映画や、土木建設の記録映画なども範疇に入っている。 第二次大戦後の日本の科学映画は、世界の先陣を切るほどの高い水準を持っていた。例えば、戦争前は松竹の俳優だった岡田桑三が社長を務めた東京シネマでは、顕微鏡撮影の伝説的キャメラマン小林米作が活躍し、生命科学の諸現象を当時の最先端の技術で次々とフィルムに収めた。このサイトでも『生命誕生』をはじめとする同社作品が多数観られる。 科学映画の特徴は“賞味期限”が長いこと。確かに科学の常識は時代を追って更新されてゆく。だが大抵の映画は、コンピュータ・グラフィックのない時代の「ガチの勝負」だから何十年経っても色褪せることがない。これこそが、半世紀以上前の日本の「クール」だ。

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