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甘い暴力「ちゅーしたい」、POIDOL 絢瀬ナナの“踊ってみた”も TikTokはV系の新たな入り口に

リアルサウンド

19/8/29(木) 7:00

 TwitterやInstagramと共に、今やスマホアプリの代表的存在となったTikTok。音楽に合わせたリップシンク(口パク)の自撮り動画や、ダンス動画を誰でも簡単にシェアできるアプリだ。ユーザーは女子高校生を中心に、10代から20代の若い女性が多い。TikTokでは、好きな楽曲を動画のBGMとして使用できる。人気の楽曲は、TikTok内だけで数億回再生されることもあるようだ。TikTok内で人気の高い楽曲の中には、なんとヴィジュアル系の音楽もあった。今回はそんなTikTokとヴィジュアル系について考察してみたい。

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 TikTokでバズったヴィジュアル系の楽曲といえば、まず浮かぶのが甘い暴力の「性欲うさぎ」だ。この楽曲は1万人以上のユーザーがBGMとして使用しており、人気雑誌『egg』(2014年休刊、2018年WEB版として復活)の専属モデルなどのインフルエンサーも同楽曲をBGMにした動画を投稿していた。最も高く評価された動画は、3万以上の “いいね”がついているようだ。「性欲うさぎ」がここまでTikTok内に広まった理由は、“盛れるBGM”だからだろう。TikTokでは、BGMに合わせてリップシンクを行なうのが一般的。そのため、歌詞のかわいいBGMを使えば“盛れる動画”を撮ることができるのだ。〈だって 私 うさぎなんだもん〉という甘えた女の子の台詞から始まる「性欲うさぎ」のサビは、その観点からTikTokユーザーの中心である層のニーズにぴったりとハマったのだ。実際、この曲をBGMにした動画は、若い女性の自撮りが多い。同じ甘い暴力の「ちゅーしたい」もTikTokで人気が高いが、〈ちゅーしてお願い‼(いいよ)〉という掛け合いから始まるこの曲は、カップルや友達同士などで撮ったものが多い。歌詞に合わせて、ラブラブ感や仲良し感を醸し出す動画がほとんどだ。

 さらにMAMIRETAの「お邪魔します」、BugLugの「しこたま」、ビバラッシュの「踊らされた人生」など、TikTok内で人気の高いヴィジュアル系の音楽は他にも多数存在する。この3曲は振付に合わせて仲良しグループで踊ったり、髪を振り乱してヘドバンしたりと、“可愛さ”よりも“楽しさ”を重視した動画が多い。ライブで盛り上がるノリの良い曲や、キャッチーで中毒性の高い曲は、TikTokでも同じように楽しまれているようだ。

 投稿された動画の中には、バンドのことは知らずにBGMとして使用したケースも少なくないだろう。15秒に切り取られた楽曲がTikTokで人気になっていくのに、複雑な感情を抱くファンも多いかもしれない。しかし、これが新たなプロモーションに繋がる可能性は大いにある。実際、2010年に発売した倖田來未の「め組のひと」(ラッツ&スターのカバー)はTikTokでバズったのをきっかけに、圏外から再度LINE MUSICなどのチャートにランクインした。(参考:RealSound)サブスクリプションがすでに当たり前のツールとして浸透している今、新たな音楽に触れるハードルは低いはずだ。もしもTikTokをきっかけにバンドに興味を持ち、ライブに足を運ぶ人が現れたら、スマホの中だけで楽しんでいた音楽が、目の前の現実に変わり、生の体験を得ることで、大きな感動を味わえるかもしれない。ヴィジュアル系バンドが音楽番組へ出演する機会は減り、ヴィジュアル系専門の音楽雑誌も減りつつある昨今。シーンの現状が外側から見えにくくなっている時代だからこそ、TikTokも新たな入り口の一つになってほしいと思う。

 最後に、ヴィジュアル系がTikTokでバズった例としてもう一つ紹介したいのは、POIDOLの絢瀬ナナ(Vo)。彼は先に挙げたBGMとして人気になった例とは異なり、菅田将暉「まちがいさがし」の“踊ってみた”動画が高く評価された。絢瀬ナナは元プロダンサーであることを公言しており、自身のライブでもダンスを披露している。クオリティの高い完成されたダンス動画は、TikTok内で1万5千件以上のいいねを獲得。また、動画のコメント欄では「女子より肌綺麗!」「顔小さいなぁ」と、ビジュアルのレベルの高さも話題となった。まさに、TikTokの動画をきっかけに多くの人に彼自身の魅力が伝わった一例と言えるだろう。メイクや衣装などにもこだわり、中毒性の高い楽曲を世に送り出すヴィジュアル系バンド。その両方の特徴に手軽に触れられるTikTokは、シーンを超えた良いプロモーションツールになり得るかもしれない。(南明歩)

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