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青年劇場×シライケイタ初のタッグでおくる、韓国の国民的詩人をめぐる愛と死の物語

ぴあ

『星をかすめる風』

劇団青年劇場の新作公演『星をかすめる風』が9月12日(土)、紀伊国屋サザンシアターTAKASHIMAYAにて開幕する。韓国の作家イ・ジョンミョンによる同名のベストセラー小説を舞台化したもので、国民的詩人・尹東柱(ユン・ドンジュ)が27歳の若さで福岡刑務所にて獄死した史実をもとに、彼の最後の日々を綴った物語が展開する。

2012年に本国で出版され、日本を含む世界12カ国で翻訳出版された小説『星をかすめる風』では、福岡刑務所で働く若い看守の記憶から、治安維持法違反の疑いで投獄された平沼東柱(尹東柱)と、彼を見張っていた強面な看守・杉山道造の交流が語られていく。1917年に生まれ、1942年に留学のため日本に渡った尹東柱。日本統治からの解放を迎える半年前に短い生涯を閉じた彼の、福岡刑務所における記録は全く残されていないという。歴史の波に翻弄された人々を深く見つめ、フィクションの中に真実を見出す筆致で熱い支持を得ているイ・ジョンミョン。韓国人気作家の描いた尹東柱の生きざまが、日本の舞台でどのように映し出されるのか、興味は尽きない。

注目すべきは本作で初めて青年劇場とタッグを組み、脚本・演出を担うシライケイタである。劇団温泉ドラゴンを率いる劇作家、演出家であり、俳優としても活動するシライは、度々韓国を題材に扱った自作や、韓国作家の話題作の脚色、演出などで高い評価を獲得して来た。人間の愛憎まみえる様を熱く、リアルに立ち上げる手腕に定評がある。劇団公演作『birth』では韓国公演を行った実績を持ち、またソウルにて韓国俳優による翻訳リーディング公演も行われるなど、韓国演劇界からもその才能が注視されている。同様に、青年劇場も韓国人演出家を招聘した公演等で日韓演劇交流を進めてきた。シライと青年劇場の精鋭陣とのコラボレーションが、詩集『空と風と星と詩』などに表れる尹東柱の清澄な精神世界の美、またそれとともに熱量のある骨太な人間ドラマを見せてくれることを期待したい。

劇場公演のほか、9月13日(日)13時30分の回ではライブ配信が、9月15日(火)以降のすべての劇場公演と同時刻に収録映像のオンライン配信が実施されるので、配信での観劇もぜひ。

文:上野紀子

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