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NCT 127、TWICE、ITZYら公演延期・中止などを受けたライブ配信が盛んに ファンとの心の距離を縮める役割も

リアルサウンド

20/4/7(火) 6:00

 新型コロナウイルスの猛威がエンターテインメント界に深刻な影響を及ぼしている。K-POPもその例外ではなく、SUPER JUNIORやBTS、Red Velvet、TWICE、SEVENTEENなど多数のグループが一部公演の延期・中止を発表、また新曲リリースの延期やリリースイベント見送りなどが相次ぎ、通常は公開収録形式で行う音楽番組も無観客での収録の措置を取っている。

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 事務所など主催会社の総収益の半分以上を公演が負っているケースも少なくないなか、ワールドツアーの中止を余儀なくされたグループも多く、また今後の活動計画すら立てることが困難である以上、業界が受ける損失は大きい。

 厳しい状況下に置かれているのは産業だけではなく、ファンも同様である。グローバルな活動も多いK-POPグループだからこそ彼らに会える機会を失ってしまった落胆の声が国内外から聞こえるのだが、そんななか今K-POPシーンで精力的に行われているのがネット上のライブ配信だ。

 Instagramのライブ機能や韓国の動画アプリ・V LIVEはK-POPファンの間でももともと人気の高いコンテンツだったが、アーティストによる生の声を届け、またファン側もコメント機能を使うことでコミュニケーションを交わすことができるライブ配信が、今まさにお互いを繋ぐ架け橋となっている。

 スマートフォンさえあれば環境が整うライブ配信を通じ、アーティストたちは多種多様な方法でファンを楽しませている。例えばNCT 127のテヨンとドヨンが行ったのは、メンバーが共同生活を行う宿舎でサンドイッチを作り、窓際にレジャーシートを広げて食べる“室内ピクニック”放送だ(参考:V LIVE)。NCT 127は“#Staywith127”というハッシュタグとともに、7日間連続で食事風景の放送(通称モッパン)やエクササイズ動画などを届けることで、自宅で過ごすファンの気持ちに寄り添っていた。

 また、アーティストたちが流行りものに挑戦する光景もよく見られる。昨年から韓国で流行している“タルゴナコーヒー”作りがその一つだ。これはインスタントコーヒー、砂糖、お湯を数百回かき混ぜて作るものなのだが、単純作業でありながら出来上がるまでに時間がかかるため、ファンからの質問に答えながら作るのに丁度よく配信との相性は抜群である(参考:V LIVE)。

 他にIMFACTのジェオプは先月発売された『あつまれ どうぶつの森』(参考:Twitch)、TWICEのミナも『マインクラフト』といった人気タイトルをプレイするなどゲーム実況も盛んだ。このように彼らが室内で過ごすことを楽しむ姿によって、こちらも外に出れない鬱屈さが少しは解消されるような気分になる。

 この時期に新曲のプロモーション期間が重なってしまったアーティストは、リリースイベントや音楽番組の代わりに配信の場でファンとの交流を図っている。3月にミニアルバム『IT’z ME』をリリースしたITZYは、収録現場や移動中の車内などからチャート首位の喜びや感謝の気持ちを伝え、またいつもは音楽番組の公開収録でファンによって行われる曲中の掛け声を、コメントを通じアイデアを募ることで決定した。(参考:V LIVE)

 こうしたネット上でのインタラクティブな交流は今、ファンにとってアーティストとの心の距離をよりいっそう縮める役割を果たしているように感じる。

 例えばTWICEのナヨンとモモが行った『夕食のオススメ』(参考:V LIVE)は「外出が制限されているなかでも出来るだけ“スペシャルな”ものを食べよう」と視聴者からのコメントを参考に夕食のメニューを考える内容だったが、そのリアルタイムなやり取りはまさに自宅に居ながら出来る“コール&レスポンス”状態で、3月に予定されていたTWICEの公演が中止になったことにより意気消沈していた筆者の心も癒されたような気持ちになった。

 思えば、実際のコンサートで公演レポートが上がるように、ライブ配信でもファンがそれぞれの思うハイライトシーンをピックアップし、感想とともにSNS上などで共有する動きがある。ひとつの空間が分かち合えない状況下で、オンラインのコミュニケーションによって気持ちを繋ぐライブ配信は、ある意味ではファンにとって一つの「活動現場」と言えるのかもしれない。

 ライブ配信の活発化をはじめ、いま出来る活動で対策をとるアーティストにより、シーンの様相にも変化が現れている。ボーイズグループ・MCNDが行ったオンラインでの“映像ファンサイン会”もその一例だろう。

 とは言えコンサートならではの生の感動が得られない現状は、ファンとして単純に空虚さを覚えるものであり、その思いはアーティストにとっても同じようだ。BTSのジンは、新型コロナウイルス克服応援メッセージの映像を通じて「この頃、慣れていた毎日がどれほど大きい意味があったのか、また、観客席が空っぽの舞台に立って、皆さんといる空間で呼吸する瞬間がどれくらい大切だったのか切実に感じている」と語ったが、音楽やパフォーマンスで互いに一体となれる日が待ち遠しいばかりである。(菅原史稀)

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