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ぱいぱいでか美が姫乃たまに明かす、“普通”の半生を語る意味「人を大事にしていてたらうまくいく」

リアルサウンド

19/3/30(土) 8:00

 ぱいぱいでか美が初の著書『桃色の半生!~仲井優希がぱいぱいでか美になるまで~』(リットーミュージック)を上梓した。タイトル通り、学生時代から『有吉反省会』(日本テレビ系)出演、そして現在に至るまでの半生を記した内容だ。著書発売を機に、以前より彼女と交流がある地下アイドル/ライターの姫乃たまによるインタビューを企画。共にステージに立った経験を持ち、互いの活躍を見守ってきた2人ならではのトークが展開された。(編集部)

(関連:ぱいぱいでか美×姫乃たま写真

■ぱいぱいでか美「おばあちゃんになるまで、できる限りはやっていく」

姫乃たま(以下、姫乃):改めて本を読んで、私とでか美ちゃんは同世代だけど真逆だな、と思って。でも、久しぶりにクラスの席近い女の子からもらった手紙を読んだみたいな感じがして、胸にくるものがありました。文章もすごい素直で。

ぱいぱいでか美(以下、でか美):こうやって(長方形に)折られてる手紙ね(笑)。私は自伝を出すには向いていないタイプだと思って書いていました。本当に平和すぎて、いいのかなと思ったんですけど、普通の人間が普通に頑張って暮らしているのも、読んだ人を元気付けられるならそれでいいかな、って。

姫乃:そこまで言うほど“普通”でもない気が……。

でか美:本当に? でもこういう本を出す人って、どこかで不良になっちゃったり、人気絶頂から転落したりという展開が多いイメージでした。

姫乃:そういう特別さと比べると、普通ではあるけど……。とは言え、それでも本を出そうと思ったのはどうして?

でか美:「ぱいぱいでか美を何者か知らない人が多いので、半生を書きませんか?」と言ってくださって、「耳マン」で連載をしていて。最初から書籍にできればいいですよねとは話していたんです。結構評判がよくて、じゃあ書籍化しましょうか、と。

姫乃:あっ、1回楽屋で見たんだけど、携帯で書いてたよね?

でか美:全部iPhoneで書いてる。パソコンで書いたことないです。

姫乃:だから手紙っぽさがあるのかもしれない。

でか美:自分の話はどうしても話し口調でしか書けなくて、読者に話しかける感じになってるかも。普段本を読まない人にも読みやすいって言ってもらえました。

姫乃:でか美ちゃんはいわゆるスクールカースト上位の明るい気質だけど、オタクやサブカルの子とも喋れるから、そういう子がくれた手紙っぽくて。あとカバー裏がプロフィール帳みたいなデザインになっていて、表紙も浜崎あゆみのオマージュで、こういう世代観と“芸能っぽさ”はでか美ちゃんの強みで、すごいなって思っています、いつも。

でか美:ちょっと大げさだけど、“陽キャの孤独”みたいなのがずっとある人生だから、それも伝わればいいなって。学生の時はいわゆる“陽キャ”と教室で漫画描いたりしているタイプの子の橋渡し的なポジションをやってて。どっちとも仲良くしてたから、両方わかるというか。

姫乃:私もでか美ちゃんと同じような感じで下北沢で活動してきて、途中で鬱になったところまでは一緒なんだけど、でか美ちゃんの鬱にはすごい加藤ミリヤを感じる(笑)。

でか美:あはは。ギャルっぽいってことか。高校の時の鬱は受け入れるまで時間がかかったんです。でも専門学生になってからぶり返した時は、しんどかったけど風邪みたいな感じがした。本には一応書いたけど、実はそこまで重く受け止めてなかったのかも。

姫乃:1回底を打つと強いよね。今回本を書いてみて変わったり、思い出したりしたことってある?

でか美:そういうスタンスで生きているつもりはなかったけど、人に対する感謝が強いことに気づきました。人のおかげで生き長らえてきたな、という感覚はあったけど、ここまであったのかって。今年28になるのに、「友達最高」みたいな気持ちがすごくて。ちょっとの時間でも人に会いに行ったりするし、本を書いたおかげで前よりフットワークが軽くなった。

姫乃:前から軽かったけど、さらに。

でか美:前は今よりも会う人をかなり選んでたかも。すごい傾斜が緩い坂だけど、私は人生で下ったことはないなと思って。このままずっと登り続けてたら、実はすごく高い山に登れているかもしれない。だから、この調子でやっていけたらいいなって。本を出せることも本当に色々な人のおかげでもあるし。書籍化しますって発表した時の反響も大きくて。これからも機会があったら本を出せたらいいなと思うし、6月には初めて舞台に出るから、色々挑戦していこうって思った。

姫乃:おー、楽しみ。本の最後の(博多)大吉さんとの対談も、「あの知らない女の子誰?」「あの子、ぱいぱいでか美っていうんだよ」っていう『有吉反省会』のやり取りについての話題から始まって、「誰だこの子?」っていう怪しい魅力を今後どう転がしていくかというテーマに広がっていって。すごい鋭い話だったなあ。

でか美:さすが、大吉さんすごいなと思った。対談の中でも「わけわからないまま生きていけばいいと思うよ」みたいに言ってくれて。だから現状維持とは違うけど、人生このままでいいな、と。名前が“ぱいぱいでか美”だから、「いつまで続けるの?」とよく言われるんです。でもおばあちゃんになるまで、できる限りはやっていく。先のことはわからないけど、自分の意思でやめることはない気がします。

姫乃:出版してから反響とかありますか? ギャルとか。

でか美:今までの活動で一番わかりやすく反応がある。今って私たちが思っている以上に、音楽が趣味じゃない人からしたらCDを買うとか、お金を払ってライブハウスに来るというのが結構なハードルみたいで。でも出版イベントでは、そのハードルがぐっと下がってるのを感じます。

姫乃:あー、そうねえ。本だったら買おうか、みたいな。

でか美:そうそう。自分はずっと音楽が趣味だったからわからない感覚で。だからテレビで見てぱいぱいでか美ちゃん好きなんだよね、みたいな人が買ってくれたり、会いに来てくれる機会をもっと増やしたいなと思う。ライブハウスでのライブのハードルを下げるのは難しいから、ショッピングモールでイベントできるような人になったら一番いいんだろうなぁ。

姫乃:ふぬふぬ。

でか美:歌詞や曲って一番素直な感じが出せるから、自分の軸として音楽活動はずっと続けていきたい。でもそこにたどり着くまでの間口や道筋を、もっといっぱい作っておけるぱいぱいでか美になっていきたいですね。悩むことはあるけど楽しいから、やめたいって思ったこともそんなにないし。側から見たら挫折や危機でも、自分はそんなにそう感じてなくて。だからこの名前も受け入れられたような気がします。

姫乃:歌って踊れるバンドウーマンだった頃から、覚悟を決めるためにバイトをやめた時期とか、でか美ちゃんとは友達だったから、改めて当時のことを文章で読んで、勝手に感慨深くなってしまった……。

でか美:こっちの世界ではまとも担当なんだけど、バイトもバックれちゃったし、就活もしたことないし、本当は全然ダメなの。

姫乃:そこが愛おしいところだよね。元々でか美ちゃんはアイドル好きなので、ファンの気持ちもわかると思うんだけど、自分のファンとはどう付き合っていますか?

でか美:会いに来てまでくれるファンの母数が少ないから悩みがないのもあるかもしれないけど、大きなトラブルは起きたことなくて。私がアイドルを名乗らずにタレントですって言って、元彼の話とかもするから、女性としての期待をさせないというか。

姫乃:ふぬ。

でか美:そういう期待をさせちゃうのは罪なことだな、と思ってるから。男友達と飲んでるのとかもSNSに載せるし。そこを乗り越えて“ガチ恋”してくる人って、自分で気持ちを処理できているから、そんなにトラブルは起きないのかも。これからもファンが増えていったら嬉しいなと思うけど、例えばたくさんテレビに出れるようになったりしても、直接会う機会は絶対なくせない。

姫乃:難しいけどそうだよね。藤田ニコルさんがTwitterで、ファンをやめるっていう報告が辛いと言っていて。リプライ欄を見たら、彼女のことをコンテンツとしてしか見てない人も多いんだな、と。

でか美:芸能人はそう見られがちかもね。私はリプ自体全然こないよ。私がSNS上で厳しいからかな。たまにInstagramのDMとかは来るけど、普通に可愛い感じの内容で。でもどれだけコンテンツとして見られても、自分と周りの人が「私のことを人間と思っていれば大丈夫」って思うようにしてる。

■“好きなこと=仕事”に対する2人のスタンスの違いは?

姫乃:『有吉反省会』に出るようになって、SNSに色々書かれて傷ついたりすることもあると思うんです。でも近くで見てて、タレントになりたいしテレビ大好きだから頑張る、っていう覚悟をぐっと決めた瞬間があったな、と。

でか美:嬉しい。本当にテレビ大好きで未だにすごい見てます。放送作家さんにお会いするときも、本当に見てるから「あの回好きでした」とか言うと、こんなに見てる人いない、って業界の人にも驚かれます。もともと大衆的なものというか、テレビやJポップ、アイドルが好きで。

姫乃:でか美ちゃんの魅力はそこだと思う。自分が出たテレビのオンエアを見てるって書いてあったのが、本の中で実は一番衝撃だった。私は絶対に見ないなあ。

でか美:エゴサもしないもんね、たまちゃん。私はするからな。オンエアは地上波だけじゃなく、Abema TVとか、ラジオとかも全部チェックして。ネットニュースの反響が見たいわけじゃないからヤフコメとかは見ないけど、自分がちゃんと仕事ができていたかどうかを知りたくて。テレビだったら、この瞬間映ってたんだったらもっとこうやって笑っておけばよかったな、とか、ラジオだと、私ここの滑舌が良くないんだなと思って聞いてる。

姫乃:真面目だ……。

でか美:自分が全く喋れなかった日のオンエアとかも見て、つまんないからカットされたんだなって落ち込む日もあるし、逆にすごい面白かった回とかは、自分で自分を見て笑ったり……。

姫乃:へぇー! 自分を見て、笑う!(衝撃)

でか美:自分の曲を聴くのは一番苦手かもしれない。最近やっとちゃんと聴くようになったかな。慣れたのかもしれない。

姫乃:まさに“反省会”。でか美ちゃん、司会とか場を回すのもすごい上手だよね。自分の中で進行のハウツーみたいなのはある?

でか美:私は喋るのもテレビも好きだし、毎月やっているトークイベントも本当に90分ずっと喋り続けてるの。一応聞き手がいて、相槌は打ってくれるんだけど。

姫乃:そうか、喋るの好きだよね。好きだから仕事でもやってる。なんか大発見!

でか美:だから喋りが苦手な子の気持ちが結構最近まで本当にわからなくて。この話するのすごい恥ずかしいんだけど、2017年は喋りをうまくなろう、って自分の中で決めてたの。呼ばれた飲み会は行ける限り行って、盛り上がっている時も入って行けるかとか、ネットの大喜利にも参加して(笑)。

姫乃:にゃはは、真面目だ。

でか美:年末フットボールアワーの岩尾(望)さんとのイベントの打ち上げで、「普段何してるの?」って聞かれて、ライブの他にトークライブを月に1回やってるって言ったら、「だからか。喋りうまくなったなと思てん」って。岩尾さんには半年に1回くらい会ってるから嬉しかったな。喋り好きプラス練習したら、私くらいのレベルにはなれると思います。

姫乃:“喋りが好き”って大前提があることに今初めて気づいた。

でか美:私も、後輩に話すのが苦手ですとか、どうやったら喋れるようになるかな、とか言われた時に、別に喋るのが好きじゃない人もいるんだなって気づいて(笑)。

姫乃:好きだから上手になりたいって健全だよね。私はオタクではないし未だに“アイドルファン”になれていないので、でか美ちゃんの好きなものに対する情熱は素晴らしいなあと思います。

でか美:普段、ただのオタクですからね。事務所が私のオタ活に合わせてスケジュールを調整してくれるし(笑)。でもなろうと思ってなるものじゃないし、私がももち(嗣永桃子)と出会ったみたいに、突然の出会いがあるから。

姫乃:私は好きなことが仕事になることに対してネガティブな気持ちがあって。でも今日でか美ちゃんと話して、好きなことが仕事になって最高って思えたらなって思った。どうしても仕事として完璧に頑張ることで嫌いになりたくない気持ちがあるんだけど、でか美ちゃんはその頑張りに対してポジティブだよね。

でか美:ハロプロさんと仕事させてもらう時とか、好きなドラゴンポテトのCMに出たりとかあるけど、そういう時は“オタク代表”で呼ばれていて、他に進行役がいるって思えるから。そういう役割分担やチームワークというのはバラエティから学んだのかもしれない。『有吉反省会』に私が仕切ってやる、とか、一番ウケ取ってやるっていう気持ちで行ったことないから。有吉(弘行)さんや(博多)大吉さんがいて、私は振られた時に面白いことが言えればいいんだなって分かったの。それまではずっとソロやバンドを自由奔放にやっていて、チームワークとか全然わからなかった。

姫乃:たしかにそういう奔放さは本からも感じるんだけど、文章が喋り口調だから押し付けがましくない。“好きを仕事にしている”ってことを強要してこないんだよね。でか美ちゃんだからこそ、クラスで漫画を描いている子にも届きそうだなって思います。

でか美:うん。私みたいに普通の、特別な人じゃなくても、真面目に周りの人を大事にしていてたらうまくいくよっていうのが届くといいな。

姫乃:そういう“普通”の半生ってなかなか書籍では読めないから、貴重だなって。最近は音楽活動もますます順調そう。

でか美:今度、バンド編成で初めてCDを出すことになって。バンドでのレコーディングもすごく久しぶりで嬉しかった。私は音楽大好きだけど詳しくはないから、コードもすぐにわからなくて。でもメンバー4人はそういう部分で信頼できて、自分が思い描いているけど実現できない願望を全部叶えてくれる。

姫乃:過去にメンバーが失踪して解散したことを考えると、感慨深いものがあるよ……。

でか美:その時は自分の性格をちゃんと分かっていなくて、本を書く中でメンバー以上に自分がやばかったんだって。カーペット事件の元彼に対しても、振り回されていたと思っていたけど、自分がすごい振り回していたことに気づいたし。

姫乃:にゃははは、成長。

でか美:だから今のぱいぱいでか美withメガエレファンツは、私のバンドっていう前提で集まっていることもあってうまくいっていて、すごくありがたい存在です。最近、ソロとしては吉川友ちゃんともコラボしたり。自分の良い部分、悪い部分がわかったからいろんな人と音楽をするのが楽しくなってきたのかも。

姫乃:1つずつ反省したり頑張ったりした積み重ねの結果だね。

でか美:優しくしてもらったり、恩を感じた人とまた会えることがあるから、恩を忘れないようにしようと思って。逆に、恩を仇で返してきたやつのことも忘れないようにしよう、と(笑)。

姫乃:本の最後のお父さんとお母さんの手紙、私まで「優希ちゃん、生まれてきてくれてありがとう!!!!!」って気持ちになってなんか泣いちゃったよ(笑)。

でか美:オチとかつけてきて、私の親だなと思った。この本はやっぱり自分のファン以外にも読んでもらいたいなと思うし、学級文庫に入れて欲しいんだよね。でも結局本を届けるための間口を広げるには、自分が仕事を頑張るしかないってわかったから頑張ろうと思います。

姫乃:私も頑張ります。何かあったらでか美ちゃんに相談しよーっと。

でか美:私もたまちゃんに相談する。どうやったらメジャーデビューできますか? っていうのを一番聞きたい(笑)!

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