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攻撃サッカーは譲れない、譲らない、明治安田J1開幕戦・川崎F×横浜FM

ぴあ

21/2/25(木) 12:00

(写真左より)田中碧(川崎フロンターレ)、扇原貴宏(横浜F・マリノス) (C)J.LEAGUE

今季のJリーグは神奈川ダービーで幕を開ける。川崎フロンターレ×横浜F・マリノス。2017・2018・2020年『明治安田生命J1リーグ』王者と2019年リーグ戦覇者の対決は、これぞ攻撃サッカーというスリリングな攻防を見せてくれるだろう。1試合3ゴールをノルマに掲げる鬼木達監督も、独自のアタッキングフットボールを標榜するアンジェ・ポステコグルー監督も、攻撃に一家言を持っている。

2月24日に『2021明治安田生命Jリーグ』開幕直前オンライン会見を開催。開幕戦2日前に川崎F・鬼木監督、三笘薫、横浜FM・ポステコグルー監督、仲川輝人が登場し、次のように意気込みを語った。

(写真左より)鬼木達監督(川崎フロンターレ)、アンジェ・ポステコグルー監督(横浜F・マリノス)

「2021年の開幕一発目、とにかく自分たちのスタイルで戦い抜く。見てくれる人が喜んでくれる試合をしたい」(鬼木監督)
「開幕戦を楽しみにしている。去年は大変なシーズンだった。しっかり勝っていいスタートを切りたい。自分たちのサッカーをしっかり出していきたい」(ポステコグルー監督)

川崎F対策を問われたポステコグルー監督は「相手どうこうではなく、自分たちのサッカーをすることが大事。自分たちがどう戦うかに重点を置いている。開幕戦に勝って、第2節に負けるなんてマネはしたくない。私がマリノスの監督に就任してから3年間、フロンターレは素晴らしいサッカーを見せている。いいチームであり、個もいい。コーチ陣も素晴らしい。それを踏まえていい準備をしたい」と答えた。

昨季、史上最速に最多勝点、最多得点など、記録尽くめの優勝を成し遂げた川崎Fは徹底マークが予想されるが、包囲網を打破する手立てについて質問されると、鬼木監督は「やはりハードワークし続けるのがベースにある。その上で自分たちのスタイルで得点を取り続ける。マークが厳しくなるのは2019年や昨季終盤もあった。今年は『ACL』もあり、過密日程になるので、ハードワークとメンタルが大事。気持ちの準備、一喜一憂せずに長いシーズンを戦いたい」と言及した。

(写真左より)三笘薫(川崎フロンターレ)、仲川輝人(横浜F・マリノス)

大卒ルーキーながら13得点とMVP級の活躍を見せた三笘と2019年にMVP&得点王を獲得しながら、昨季はまさかの2得点に終わった仲川は以下のように開幕戦の抱負を語った。

「開幕戦で神奈川ダービー、気合が入っている。ここで勝てば勢いに乗れる。いい準備を臨みたい」(三笘)
「開幕戦で神奈川ダービーなので、激しい試合になると思うが、結果が大事。結果を出せるようチーム一丸となっていいサッカーをしたい」(仲川)

互いの印象について問われると、ふたりはこう答えた。
「仲川選手はスピードがあり、カットインしてからのシュートやクロスなど、ひとりで脅威になる。ドリブラーとしてタイプは違うが、参考にさせてもらっている」(三笘)
「緩急の付け方がうまい。引き付けて味方を使うこともできる。去年ホームでもアウェイでも点を取られたので、厄介な相手。僕らも止めに行くので、それを三笘君には楽しんでもらいたい」(仲川)

さらにふたりのドリプラーは今季の活躍を誓った。
「特徴はドリブルやアイデア。観客に楽しんでもらいたい。今季も数字にはこだわりたい。得点、アシストを残していきたい」(三笘)
「去年ケガで半分出ていないので、フルで出られるようにしたい。1試合1得点を目指して、23得点に近付ければ」(仲川)

課題についても言及した。三笘が「連戦が多くなるので交代の枠は重要。ただ自分も90分出たい。後半のプレーの強度を高めていかないといけない。プレーの選択、どこで力を使うかが重要。ドリブルの回数を減らしゴール前に行くのか、ドリブルでどんどん行くのか、味方を使いながら選択していきたい」と言えば、仲川も「去年と同様にマークは厳しく来ると思うが、個人でひとりふたり外す力がないとチームの力にならない」とキッパリ。

また仲川は「いい仕上がりでキャンプを終えることができた」と振り返りつつも、「ただ公式戦をやっていないので、『FUJI XEROX SUPER CUP 2021』があったフロンターレが有利かも」と警戒する。仲川の危惧も理解できる。2月20日・『FUJI XEROX SUPER CUP 2021』でも川崎Fは強かった。

三笘薫(川崎フロンターレ)(C)J.LEAGUE

相手はガンバ大阪。11月25日・等々力陸上競技場での『明治安田J1』第29節直接対決で0-5の大敗で川崎Fの史上最速優勝を許し、2021年1月1日・国立競技場での『天皇杯』決勝で返り討ちに遭ったG大阪は並々ならぬ思いでシーズンを占う一戦に臨んだ。

それでも試合開始とともにペースを掴んだのは川崎Fだった。立て続けに決定機を演出すると、29分にMF田中碧のパスでペナルティエリアに侵入した三笘はワンタッチからシュート一閃。先制点を叩き出した三笘は3分後、右SB山根視来のシュートを押し込んで2-0。完全に試合を支配する。

だが、今季最初のゲームはこのままでは終わらなかった。60分にクロスをクリアし切れないと、2次攻撃からMF矢島慎也に技ありのゴールを決められた。67分にはPKを献上し、同点に追い付かれた。サッカーでよく見る負けパターンの典型的な展開だが、川崎Fはここで踏ん張る。

遠野大弥(川崎フロンターレ)(C)J.LEAGUE

72分にエース小林悠を投入し、レンタルバックしたFW遠野大弥をピッチへ送り出す。PK戦突入と思われた96分に田中の縦パスに遠野が反応、さらに前を向いた遠野のスルーパスに小林が抜け出し右足を振り抜きゴールネットを揺らしたのだった。

試合後、鬼木監督は「前半に2点を取って、後半で3点目を取って決めたかったが、2点を取られて追い付かれたのは反省点。でも、そのあとも勝ち切るために全員で力を合わせて一発目を勝てたのはすごく評価できる。一発目で課題が出たのもポジティブにとらえている」と前を向いた。

小林悠(川崎フロンターレ)(C)J.LEAGUE

2得点した三笘が「2-0で折り返してから2-2に持っていかれてしまったのはすごく反省点。そこから3-2にしたのは力があるが、もっと楽に進められたと思う。自分としては得点以外は何もできなかった。もっと前線からの守備やプレッシャーをかけないといけない」と反省の弁を口にすれば、決勝弾を決めた小林は「シーズンの始まり、いいスタートを切りたかった。チームとしてしっかり勝ち切れたことはよかった。大弥が前向きにボールを持った時に、自分の特長の動き出しで相手より速くパスを出すスペースを作った。そこに大弥がいいボールをくれたので、あとは打つだけだった」とチームメイトを称えた。

ジョアン・シミッチ(川崎フロンターレ)(C)J.LEAGUE

いいパフォーマンスを見せた新加入のふたりはこのように振り返った。
「碧からいい縦パスが来たのでワンタッチではたくか、シュートまで持って行こうと思ったが、悠さんがいい位置に走っていたのでパスにした。アシストという結果でチームに貢献できてうれしい」(遠野)
「個人的には出せるものは出してチームに貢献できたと思う。今後伸ばしていかなければならない点もあるが、現時点で満足の行くプレーはできたと思う」(ジョアン・シミッチ)

また、小林は中村憲剛が去ったチームを引っ張っていく決意を改めて口にした。

「チームとして存在が大きかったし、僕自身も寂しかったが、シーズンが始まったのでそんなことは言っていられない。今週の練習でも新加入の選手にフロンターレが目指すところやほしいボールについて話したり、憲剛さんがやっていたことを意識してやっている」

ストップ・ザ・フロンターレの包囲網にあっても、『ACL』との過密スケジュールを強いられても、中村憲剛が去っても、川崎Fは強い。

果たして、川崎Fが2度目の連覇へ好発進するのか、横浜FMが王座奪還へ勝点3を手繰り寄せるのか。『明治安田J1』開幕戦・川崎F×横浜FMは2月26日(金)・等々力陸上競技場にてキックオフ。今季の幕開けに極上の攻撃サッカーを堪能したい。


取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)

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