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山本タカ作・演出の一人芝居をトラックで“配達”、コロ演じる口達者な高校生のラブストーリー

ナタリー

20/6/21(日) 10:00

配達演劇「THEATRE A/way」から「口火きる、パトス」リハーサルより。

配達演劇「THEATRE A/way」の検証プレ公演が昨日6月20日に行われた。ステージナタリーでは、6月19日に東京都内で実施された、山本タカ作・演出の一人芝居「口火きる、パトス」のリハーサルの様子をレポートする。

ゴーチ・ブラザーズが主催する「THEATRE A/way」は、“生の演劇を直接届けること”をキーワードに、トラックで一人芝居を“配達”するプロジェクト。本システムを利用すると、注文者の元にトラックが到着し、演劇公演が行われる。上演は半野外で実施され、観客には感染症対策としてフェイスシールドが配布される予定だ。

リハーサル当日、トラックの全開放された後方部前に、舞台と照明機材が組まれ、トラックの屋根部分に雨除けの布が張られると、テント内のような演劇空間ができあがった。そこに本作の演者であるコロが現れ、芝居が始まると、舞台上は学校、自宅、公園、ショッピングモールと、またたく間に場所を変えていく。

劇中では、コロ演じる口達者な高校生・柳のラブストーリーが展開。弁論部部長の柳は、弁論大会で銅メダルを獲得するも、その結果に満足できず審査員に詰め寄る。すると審査員から「君は人の心がわからない」と欠点を告げられた挙げ句、恋を理由に退部した弁論部の後輩・芹沢にも同じことを言われてしまう。弁論一筋で、他人の色恋をバカにしてきた柳はどうすればいいのかわからず苦悩するが、ある日サッカー部のマネージャーをしている女生徒に出会い……。

コロは、不遜ながらもどこか憎めない柳を愛嬌たっぷりに立ち上げる。柳の激しく切り替わる喜怒哀楽を、語調や表情だけでなく身体でもパワフルに表現。コロは、響き渡る声で膨大な量のモノローグを発しながら、舞台上を駆け回り、作品の世界観を作り上げていく。また、柳が高飛車な態度で小学生にサッカーを習いに行く場面では、コロが自ら除菌したサッカーボールを舞台上から観客席に投げ入れ、観客を劇世界に巻き込んだ。

舞台との距離の近さや、野外であることを想定し作られた音響や照明、そして演出により、観客は物語へ没入していく。また、暗転時に「暗転」と書かれた札を持ったスタッフが現れたり、コロが周囲の環境音に「……ここはこんなにうるさかったか!?」とアドリブのようにセリフを飛ばすなど、野外演劇ならではのユニークな演出も本作の見どころだ。なお配達演劇「THEATRE A/way」の検証プレ公演では「口火きる、パトス」に加え、中屋敷法仁作・演出の永島敬三による一人芝居「ときめきラビリンス」も上演された。

配達演劇「THEATRE A/way」検証プレ公演

2020年6月20日(土)※公演終了

「口火きる、パトス」

作・演出:山本タカ
出演:コロ

「ときめきラビリンス」

作・演出:中屋敷法仁
出演:永島敬三

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