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AKB48とマイリー・サイラス――日本と海外のアイドルは何が違うのか?

リアルサウンド

13/11/2(土) 12:00

 日本の音楽シーンを席巻するアイドル文化。一部のコアなファンが支えていたというのは過去の話であり、いまやテレビでAKB48やももクロ、ジャニーズの姿を見ない日はないくらい、すっかり人気は定着した。では果たして、彼ら彼女らのようなアイドルは海外に存在するのだろうか?

 先に結論を述べてしまおう。海外には日本のようなアイドル文化が存在しない。では海外にアイドルは存在しないのか。いや、バックストリート・ボーイズやディスティニーチャイルドはアイドルとしてデビューしたし、最近ではジャスティン・ビーバーやマイリー・サイラスなどがそう。アメリカン・アイドルというオーディション番組が人気を博し、そこから新たなアイドルが誕生しているのは周知の事実である。しかし彼ら彼女らを日本の「アイドル」の枠組みで語るのには違和感がある。ミュージシャンやアーティスト、ディーヴァといった方がしっくりくるだろう。

 海外のアイドルと日本のアイドルに違いをもたらしているものは何か? それは受け手(ファン)の「愉しみ方」にある。よく海外のアイドルは日本に比べ歌唱力がある、ダンスが上手いなどミュージシャン・アーティストとしての完成度の高さが言われるが、それは消費者が彼ら彼女らを「パッケージ」として楽しんでいるからに他ならない。Youtubeで発掘されて火が付いた前述のジャスティン・ビーバーはシングル『BOYFRIEND』により世界32カ国のiTunes Storeで1位を獲得。1位を獲得した国数が史上最多のシングルとして記録を作った。またマイリー・サイラスの「We Can’t Stop」はそのジャスティン・ビーバーが保有していたYoutubeの再生回数記録を更新し、最初の24時間で約1070万回の再生数を作って話題となった。海外ではアイドルをパッケージ化されたエンターテイメントとして楽しむ。その際、アイドルに求められるのは容姿やスタイル、歌唱力など、目に見える形のアーティスト性であり、その完成度の高さである。

 一方、日本ではどうだろうか。日本のアイドル文化を語る上で欠かせないキーワードに「物語性」がある。我々はアイドルを愉しむ(応援する)際、たんに容姿や歌唱力だけに惹かれているのではない。ももクロが売れていない頃にツアーバスで寝食を共にしていたとか、AKBで選挙の結果、はじめてマイクを握れるメンバーになったといったような文脈を含めてアイドルを愉しんでいる。ステージ上の姿、あるいはCDや写真集の中の姿(パッケージ)だけでなく、もっと人間味のある部分――彼ら彼女らの持つ物語を愉しんでいるのが日本のアイドル文化だ。この「パッケージ」を愉しむか「物語」を愉しむかというという受け手の違いが、アイドル自体のあり方に大きな違いをもたらしているのだ。

 またアイドル文化を支えるファン層の違いも見逃せない。日本のアイドルファンが成人を中心に幅広く形成されているのに対し、欧米ではアイドルのファンはもっぱら同世代、ティーンエイジャーが中心。キリスト教的価値観により未成年者への恋愛感情が禁忌とされている欧米では、大人がアイドルを愉しむという土壌がまだ成熟していないのである。

 海外から見ると独自に進化しているように思える日本のアイドル文化。しかし近年では海外に進出して活躍するアイドルも増えてきつつある。日本政府がクールジャパンとして日本のポップカルチャーを積極的に世界へ売り込もうと動いているのもアイドルたちにとっては追い風だ。もしかしたら将来、日本のアイドル文化が世界のスタンダードに変わる日が来るかもしれない。
(文=北濱信哉)

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